Vuelta
蓋取れば茄子の酢漬けの五日目は食べ頃としてしずもりをりぬ
コンセント挿せばちひさく散る火花ゆめの甘さは遠くなりけり
風戦ぐアンダルシアを映すときブラウン管に立つ砂嵐
消失点 破線であつた白線がいつぽんとなり漕ぐ吾がゐる
ブレーキを握らぬ身体すれすれに傾がせて聞く歓声 旋回(vuelta)
光りつつ降る雨、やがては土砂降りの雨 車輪は止まれば倒れてしまふ
汗ひとつかかぬ口調でキャスターは選手の心拍数を語りぬ
敬礼をしてやる程度には許すオズボーンの真黒き雄牛
見下ろせばむらがりてある家の灯の愛してるとか軽く言ふなよ
血を啜る顔つきのまま投げられし空のボトルの行方は知れず
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