つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

2013-11-15から1日間の記事一覧

085:歯(円)

にぎやかな夜の嘲笑光りだしなくした犬歯うずきはじめる

084:左(円)

重心を左に寄せて人を待つまた会うなんてあるのでしょうか

083:霞(円)

ばら色に霞んだ空を見送った地上はいつかいなくなる影

082:柔(円)

遠ざかる、また遠ざかる。誰の手も柔らかな熱を持たないゆえに

081:自分(円)

前進を出来ぬ自分を退けて窓を貫く目覚めの光

080:修(円)

冬季鬱近付いてきて明るさは修復された絵の中にある

079:悪(円)

(悪い子だ)ずぶずぶ沈む温もりの底から上を見上げています

078:師(円)

街灯が灯るよ。きみは今ひとり腕ひらめかせ魔術師となる

077:うっすら(円)

うっすらと目蓋に金の粉を刷き異国の夜は瞳を開ける

076:納(円)

納得はできないままに頷けばほろほろと赤い木の実こぼれる

075:良心(円)

いたいいたいとさすり続ける良心のかたちは誰も知らないままで

074:ワルツ(円)

水紋は広がり消えるめでたしで終わりへ向かうワルツのように

073:史(円)

「史料では空は青かったそうです」博物館にこだまする声

072:産(円)

星は夜に産み落とされるべきだろうそうでなければ淋しすぎるよ

071:得意(円)

笑え笑えそうだ得意気に歌うんだアンパンマンのマーチひとりで