つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

うた

The October People(仮装俳句 より)

花嫁にいつか捧げる草の花 薬掘るもはや死からは遠けれど 本物は白、囮には赤い薔薇 ともだちもぼくも映らず水澄めり 遠目には渡り鳥にも見えるだろう 凶作やドラッグストアの増血剤

東京歌壇10月29日

学習性無力感のごとき雨はふり雨音のなか私は眠る 東直子欄・選でした。ありがとうございます。

ワンルーム・サイレンス(back 2 back)

於東京駅弘済会 昭和二十二年三月二十八日 春雨の中に購ふ。 句集「春」買ふて濡れゆく家路かな / 柳白塘 (現代俳句叢書1 句集「春」(日野草城)末尾の書込み) ※ うつくしい冬への扉あけはなつ話すことなどなんにもなくて 訪うや把手冷たきワンルーム 夕…

東京歌壇10月22日

沈黙の重さ言葉の重さとを果実のように割れなくて手は 佐佐木幸綱欄・選でした。ありがとうございます。

東京歌壇10月1日

夕焼けがはんぶん以上を占める窓ここでは雲は都心からくる 佐佐木幸綱欄・選でした。ありがとうございます。

夜の森(うたつかい2017年秋号)

木の燃える夢を見たからあなたへの言葉はみんな通じないだろう 濡れてゆくみどりよみどり石鹸が泡立つように泣く人だった わたしからわたしはずっと逃げられない夜の森 めくらめっぽう歩く ライナスの毛布みたいな朝焼けの青に静かに挽歌は降るよ 密室に射し…

東京歌壇9月17日

かつて火が本を燃やしていたことの 真夜、風の音を確かめている 東直子欄特選でした。ありがとうございます。 東京新聞:東京歌壇 東京俳壇(TOKYO Web)

図書館ほしまつり

(当館にある星の本を集めました。) あるびれお 新潮文庫の青色に浮かぶ十字に手は重なって 夏の月まだ百歳にもなってないぼくたちだからまちがいばかり すべて星、あるいは星であったもの。(天の光はすべてみなしご) 幼年期終わらぬままに夜は降り取り残…

東京歌壇9月10日

混ざるほど色は濁るものシスレーの点描の間のうつくしい白 佐佐木幸綱欄・選でした。ありがとうございます。

東京歌壇9月3日

風船の糸は長くてどこかへとつながれている快楽 ゆれる 東直子欄・選でした。ありがとうございます。

夜の森(poecrival2)

木の燃える夢を見たからあなたへの言葉はみんな通じないだろう 濡れてゆくみどりよみどり石鹸が泡立つように泣く人だった ライナスの毛布みたいな朝焼けの沈黙 挽歌を信じそうだよ 指の爪ひとつひとつが鳥であり飛べと命じて色づけている 開けたってからっぽ…

東京歌壇8月20日

中空の月など見てる顔をしてカーブミラーのわたしが曲がる 東直子欄・選でした。ありがとうございます。

season words(CDTNK夏フェス2017)

わたくしがわたくしを殴る縁日の琉金 尾っぽのあざやかなこと 髪洗ふおふぇりや達にことば、ことば 湯上がりのような顔して改札を並んで抜けて明日の約束 真夜中のしづかな踊りぼくの影 ハンドソープ押しだすように陽はあふれ死者と生者の影淡くなる 突き出…

東京歌壇8月6日

行政を侍女と呼ぶときおそらくは男であろう政治と思う 佐佐木幸綱欄・選でした。ありがとうございます。

東京歌壇7月30日

密室に差した光を星と呼ぶ あなたは星で鍵ではないね 東直子欄・選でした。ありがとうございます。

東京歌壇7月23日

映写機がどこか遠くで回りだすいくたび辿るこの帰路だろう 東直子欄・特選でした。有難うございました。 東京新聞:東京歌壇 東京俳壇(TOKYO Web) 8/6追記 7月の月間賞でした。ありがとうございます。

東京歌壇7月2日

まちがいのもっともすくない家事としてぬぐい続ける丸皿のへり 東直子欄・選でした。ありがとうございました。

シュレディンガーの傘(みずつき6)

シュレディンガーの傘 どこからが雨雲なのかわからない空の下でも無防備だった ロッカーの遠い密室開くまでシュレディンガーの傘の花柄 曇天に開くてのひら法律が雨になるまであとどれくらい? 紫陽花に香りはなくて暗がりに寄り添いあえば震える睫毛 雨の気…

東京歌壇6月11日

やさしさを花にたとえるひとがいたユートピアってマメ科だろうか 東直子欄・選でした。ありがとうございました。 twitterのフォロワーさんが同じ欄にいてちょっと嬉しかったです。

東京歌壇6月4日

あたためたミルクのために一度だけレンジのベルは鳴りまた夜になる 東直子欄・特選でした。ありがとうございました。 東京新聞:東京歌壇 東京俳壇(TOKYO Web)

夜の続き(うたつかい・2017年春号)

夜の続き 甘やかに庇護されている夢を見た夜の続きはいつでも朝だ 墓所のごと返信のたび増える署名スクロールバーは仕事を終えて 花のつく季語という季語ぶちまけた君の狼煙がこんなに綺麗 音もなく加湿器は白い霧を吐く目眩むほどの光もあったが ちょっとし…

Vuelta(アニポエvol.5「スポーツアニメ特集」)

Vuelta 蓋取れば茄子の酢漬けの五日目は食べ頃としてしずもりをりぬ コンセント挿せばちひさく散る火花ゆめの甘さは遠くなりけり 風戦ぐアンダルシアを映すときブラウン管に立つ砂嵐 消失点 破線であつた白線がいつぽんとなり漕ぐ吾がゐる ブレーキを握らぬ…

東京歌壇5月7日

公の字がやがてはハムになるまでを見守っている 骨さえなくて 東直子欄・選でした。ありがとうございました。 余談ですがこの日の新聞の東京歌壇上に掲載されていた「米国人カメラマンが撮った「フクシマ 不屈のサムライ」 江戸末期の撮影技法で「まるで幕末…

東京歌壇4月30日

君はいつも冬の匂いと告げられてまき散らしてる小さい火花 東直子選・特選でした。有難うございます。 www.tokyo-np.co.jp

NHK短歌2017年5月号・ジセダイタンカ

NHK短歌2017年5月号、ジセダイタンカの欄に短歌7首連作「Border」と短い文章が掲載されました。ジセダイタンカの欄は天野慶さんが編集を担当されており、見開き1ページに3人の連作及び文章、1名の歌集紹介が掲載されることになっています。法橋ひら…

東京歌壇4月16日

いまはただあなたひとりの真っ白なカーテンとして夕焼けを待つ 東直子選・佳作でした。 webで一首評をいただいていました。ありがとうございます。他の記事を見てタイトルがアナグラムなんだなと暫く経ってから気が付きました。 note.mu

そして崩れる

そして崩れる わたくしの影も眼鏡を持っていて時折外しレンズを磨く 俯いた君をまっすぐ貫いていつかは帰る星なのだろう やわらかなだるま落としとして甘いパンケーキつむ(ちょっと崩れる) さいはてかさいしょの場所かわからずにふたり見つめる海の青さよ …

エヴァンを棄てる 他( #vdbl俳句 2017)

エヴァンを棄てる 泥拭い落としひとりのバレンタイン 夜の梅スニッカーズはちぎるもの 告白はしないが 魚(うお)は氷(ひ)に上る 銀紙のちりちりと鳴る愛の日よ たんぽぽを頭にのせてチョコになれ みんなうそ。猫の舌とはチョコのこと。 朧月キットカット…

遠い虐殺(京都文学フリマ・短歌連作フリーペーパー)

ただしかった、ただしかったとくりかえすあなたのための夜のクリック 水面に指ふるるごとログインのたびにぼやける感情がある ガラス器の継がれてなおも立つ様を景色と呼べば遠い虐殺 どんな夜だっていつかは明ける(福田恒存 訳) 明けない夜は長いからな…

吹雪のあとに(角笛2)

カーディガンの裾はためかす早足で次のページを目指し歩いた 雪原に雪降りつづくそのなかの足跡としてピチカート鳴る 最終行でぜんぶ反転してしまう叙述のように ここも地獄だ ヤミゴメに似たものを食べ生きている歯の抜ける夢をくりかえし見る 人混みに肩い…