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つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

サルベージ・破いたら星

今はもうありえぬ未来予想図を呼吸のリズムで破いたら星雪原を進む羊の群れとしてホットミルクの溢れ出す部屋 延べられる手などないこと街灯に暴かれ木々は夜凍り付く国は土だろうか赤い林檎の実囓れば沁みるこの島の土 稲畑を犯す花色黄色くてやめるつきの…

サルベージ・君の救い主

サーフィンというよりむしろ溺死だろうマウスを伝い冷えていった手 もう君の救い主にはならないと告げつつ一人丸まりゆく背 鐘の音は澄み渡るだろう秋空にあくがれだけを引き連れてゆく窓越しに震える影がひそやかに囁く夜明け「いきのびたねえ」 並行ですら…

サルベージ・フォーカス

満月へ汽笛を鳴らし走り出せ眠れない夜、終わらない問いさめてゆく夢は光の速さゆえ朝っぱらから置き去りの身だ 兆候は既にあったと言ってまた眠りこみたくなるような夢 車窓から覗く妄想抜いて行け君がこちらにい続けるため 空想の翼はたはた胸で鳴りかなし…

ゴーシュ2、あるいは音の出る箱

「表情ということがまるでできてない。」 セロを抱えてボーカロイドは見たこともない夢だとか未来とか調教された通り歌うよ 仕様書に書かれたものしか知らなくて異常値ばかり出力してるブレスする一拍のいらぬ歌姫は深呼吸したことが無かった (……おいゴーシ…

サルベージ・外耳道

金曜日ドラムいよいよ速くなり千の光が籠城をする 矢をつがえ引き絞られた弓ばかり見回せば皆強張った背で 生け贄の一つも無しにもう会わぬ人のゆくえを映す液晶 人らしき形を保つ栓として外耳道から挿すイヤフォーン ザンドマン砂を降らせよ夜の傘回せば開…

サルベージ・素片連結

見下ろした午睡の船は静かなり沈めるように逝くならば夏 影さえもみんな足から伸びていて誰も私といっしょに死なない 終わらない夏休みの影追い掛ける空がぐんぐん燃え出す頃におかえりを言うための場所にもう誰も戻らない気もしてる夕焼け (暴動か?)(いえ…

夕焼け

掌をどれだけ集めて勝てるだろう巨悪とやらにじっと手を見る 白桃を剥けば蝕む黒い種生まれた時はなかったろうに 祈りとは元は怒りであったのだ怒号流れて風風揺れるひとりだけ生き延びたような夕焼けがまだ続くので走って帰る 通り雨濡れだす君の髪の毛がひ…

サルベージ・金曜日

まだ歩く理由をひとつ、ふたつみっつ水銀灯の数を数えよ 街路樹の途切れたアーチ、その続きひとり描けば空もくぐれる 赤い舌だらりと垂らしその奥を見せつけながら花は枯れゆく 生まれてしまったし生きてしまったしまったしまったなにもない日々 もう決して…

サルベージ・乱視

世界へと焦点がまだ合わぬので月も私も二人おります 地下街の食事に並ぶ明かりたち もしも地上が沈んでいたら全てのAボタンを連打せよ雨はステージクリアの見えぬ曇天駅前は人肉の匂いで溢れ みんななにかを食べに行くのね 逆光でぶれた視界を夕暮れに過ぎて…

サルベージ・水の袋

ベランダで雨雲を待つ傘布が振り向かぬまま透かした光流れない涙ばかりで満ちてゆく水の袋になってしまった 太陽が明日も昇るかのようにふつうであると赤い唇 寝静まる夜の隙間に産まれ落ちひとりでに死ぬ生き物がいる 集会後の空は強風 今、すべての夜の夢…

サルベージ・ゆめ

薄まった夜に掌透かしたら溶けだしていく夜の生き物 同じ場所走り続ける秒針の痙攣耳に落ちていく夢 すべて夢だったのですよ。夜が来て目覚めた私がひとり呟く静寂が午睡の国に着かぬまま山手線の窓から、ひかり 大股で踏み出す通奏低音/主よ人の望みのよ …

サルベージ・緑

目覚めれば緑の微熱帯びたまま水の匂いに埋め尽くされるたっぷりと含ませるには惜しいので枝の先から春のきみどり青い青いシャガの草むら駆けていく冷たい露が足から回る 船の帆を、カーテンを、樹の枝を、葉を、膨らませ風は私を過ぎるハイヒールがっつがっ…

サルベージ・落ちるひとひら

はたはたと震えて落ちるひとひらが泣けないきみに泣こうよと言う 散らされた花も北ではまだつぼみ。悲しいことはまだ起きてない ふかふかのぷーさんの手の下頭入れてなでなでしてもらうふり 「お花見の穴場はこちら」細い木の花に埋もれた雀が笑う 花びらを…

サルベージ・三月・さくら

死ぬだろうカップに沈む花びらも沈ませたまま飲み干していく 星さえも回る速度はのろくなり白い微熱に震える夜空何度でも生まれ変われる本当にどよめきながら空への脱皮 まだここは最後の場所じゃないだろう 掌振れば最後の一人 頭下げ紙差し出して赤く丸い…

夜の森

真夜中の後頭部から声がして誰も私にごはんをくれない 嘘不信逃げる疑う責め立てる貴方がいない貴方がいない ぼくだけが一番だって言っててよ意味が無くても言って、言ってよ ぼくだけがいてほしいって言っててよ意味が無くても言って、言ってよここからはも…

サルベージ・夜のおまじない

ひそやかなまじないにより春が来るコーンスープの鍋を混ぜれば 花びらの開く音して梅の香は冬の夜空へひかりの速さ 抱き締める相手が欲しく電線に重さ預けて真夜中の蔓 もう君は何処へも行かず死んでいい飾ってやろう藤の花房電源の供給源が見つからず目覚め…

サルベージ・一勝一敗

傷負った獣の目して行く人を遠く眺めて舐めてるココア 血色の良い労働者となるため口紅を塗る頬紅を塗る冬の間も歩けば春になるように一勝一敗繰り返し行く窓辺から夜一杯に詰めた文字ただ一行で言える気もする自殺者が今朝も出ました白線の内側に立ちお待ち…

サルベージ・夜の顔

歯車の微かに軋む音がして水の結晶回りだす夜 損失の補填作業をくりかえしただ繰り返して過ぎる一生 屋根の下並んで入る傘達が雪払いのけ取り戻す色 ずんずんと重たき頭蓋反らしつつ二足歩行のバランスを取る 震災時対応記録作成し打ち出す紙が妙に少ない 寒…

サルベージ・鈍色

フリスクの味する風を舐めながら地下鉄はまたトンネルくぐる そんな弱いノックじゃ誰も気付かない頬を打たれる春なら遠い 君の目に浮かぶ水滴見つけてもまだ確信を持てないでいる 声高に残業時間誇りつつ我らのカポーは薄い汁飲む伝言は背中に書いておきます…

サルベージ・遠い

手を引かれながら俯き行きました目隠しをして 幸福でした全身を望遠鏡に変えていく遠い星だけ見ることにする 足遅い片割れのため席取りし老人すっくと盾のごとくに びっこ引きながら咽喉行く祖母に歩調揃えて相槌を打つ 手の中に一枚残ったカード引く誰もい…

サルベージ・曇天

ドラッグを売る店のなお明るくて群がっている眠れぬ羽虫 「お隣の人と一緒にやりましょう」教室出てもずっと、ずうっと歴史書は読み終えぬまま過ぎる時 代わりに賢くなんてなれない 議事堂を俯き回る人々の「ほんださん、って、いるんでしょうか」 逆説の言葉…

サルベージ・鬼

圧倒的正義から目を逸らしたい 皆本当は良い子、よいこよ 本当に馬鹿だよねえと笑いつつ君は一人で鬼の目をする 角三本生えた頭を抱え泣く私を好きでなくていいから

サルベージ ・ ゴーシュ

「表情ということがまるでできてない。」 セロを抱えてボーカロイドは仕様上のフレームしか知らなくて異常値ばかり算出される 人間に負けてはならぬと楽長が「奴らは道楽、負けてはいかん」 ブレスする一拍のいらぬ歌姫は深呼吸したことが無かった (……おいゴ…

サルベージ 赤と青

赤 前線は既に南に生まれたり 紅い桜を冬空に足す 生き物を殺してみたくなったので浮かんだ茎を裁ち鋏で切る 体から糸がほつれてきてまして繕ってます糸伸びてます夕方のスタバの隅で声がする「ネッシー見たの水族館で」ため息をつくにも理由が欲しくてあた…

サルベージ・コンクリートジャングル

着飾ったカイワレ達のひるごはん 白熱灯は我を育てず 衰えた筋肉はまだ眠ってる非常階段のひそやかな息 本当に → 申し訳ありませんでした。 先回りされ終わったメール目の前に落ちた言葉をただ拾い謝罪メールは長くなりゆく 電灯が消失点へ走る夜 我等机に縛…

サルベージ2

喪服着た白雪姫が集まって 「この血のように赤い唇」 片付かない子どもの部屋に我は居り 遊びの時間は終わりましたよ 口紅は己のために塗っていく 死んだ人を送るためいく 半日を眠れる人の側にいて 息確かめるまだ生きているいつかみなしんでしまうからだれ…

サルベージ

(20091225) 昨日はちゃんとサンタをやれましたと働く父母の声流る朝 ニューヨークの嘆きがWebを縛れども小さき悲鳴よ我まで届け (記念施設を建てようとした場所の地下から、船の遺跡が見付かったらしい) グラウンド・ゼロはまどろむ空の夢海の夢との狭間にあ…

深呼吸する幻覚

深呼吸する幻覚 でも今は沈没しててもいいですかカーテンコールの夢を見ている もうずっとここにいるとも言えないで書きあぐねてる白紙のページ 絶望をすることもない瞳なので世界を見詰めるふりをしていた生き残る天使のように遠くから皆が死ぬのを待つよう…