つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

企画

花を贈る(短歌解凍掌編)

自分がにんげんでないことに気付いたのがどれほど前のことであったか、もう覚えていない。 にんげん達や獣たちにひとしく流れる時の川、そのさざ波はわたしのもとには届かない。あるいはひどくゆっくりと、海に落とした木の実のような遠さで届くらしい。同じ…

図書館ほしまつり

(当館にある星の本を集めました。) あるびれお 新潮文庫の青色に浮かぶ十字に手は重なって 夏の月まだ百歳にもなってないぼくたちだからまちがいばかり すべて星、あるいは星であったもの。(天の光はすべてみなしご) 幼年期終わらぬままに夜は降り取り残…

season words(CDTNK夏フェス2017)

わたくしがわたくしを殴る縁日の琉金 尾っぽのあざやかなこと 髪洗ふおふぇりや達にことば、ことば 湯上がりのような顔して改札を並んで抜けて明日の約束 真夜中のしづかな踊りぼくの影 ハンドソープ押しだすように陽はあふれ死者と生者の影淡くなる 突き出…

シュレディンガーの傘(みずつき6)

シュレディンガーの傘 どこからが雨雲なのかわからない空の下でも無防備だった ロッカーの遠い密室開くまでシュレディンガーの傘の花柄 曇天に開くてのひら法律が雨になるまであとどれくらい? 紫陽花に香りはなくて暗がりに寄り添いあえば震える睫毛 雨の気…

Vuelta(アニポエvol.5「スポーツアニメ特集」)

Vuelta 蓋取れば茄子の酢漬けの五日目は食べ頃としてしずもりをりぬ コンセント挿せばちひさく散る火花ゆめの甘さは遠くなりけり 風戦ぐアンダルシアを映すときブラウン管に立つ砂嵐 消失点 破線であつた白線がいつぽんとなり漕ぐ吾がゐる ブレーキを握らぬ…

そして崩れる

そして崩れる わたくしの影も眼鏡を持っていて時折外しレンズを磨く 俯いた君をまっすぐ貫いていつかは帰る星なのだろう やわらかなだるま落としとして甘いパンケーキつむ(ちょっと崩れる) さいはてかさいしょの場所かわからずにふたり見つめる海の青さよ …

エヴァンを棄てる 他( #vdbl俳句 2017)

エヴァンを棄てる 泥拭い落としひとりのバレンタイン 夜の梅スニッカーズはちぎるもの 告白はしないが 魚(うお)は氷(ひ)に上る 銀紙のちりちりと鳴る愛の日よ たんぽぽを頭にのせてチョコになれ みんなうそ。猫の舌とはチョコのこと。 朧月キットカット…

吹雪のあとに(角笛2)

カーディガンの裾はためかす早足で次のページを目指し歩いた 雪原に雪降りつづくそのなかの足跡としてピチカート鳴る 最終行でぜんぶ反転してしまう叙述のように ここも地獄だ ヤミゴメに似たものを食べ生きている歯の抜ける夢をくりかえし見る 人混みに肩い…

聞こえなくても(みずつき5)

青空の下で見ていたひどい夢いつかあなたに降りかかる雨 街灯に夜の草むら香りだし死者の記憶は立ち上がるもの 雨音にこめかみ冷えてお祈りは聞こえなくても続く(けれども) 両手からこぼれるように慣れるだろう負けていること目を伏せること 散る花をアス…

いつか、パディントン駅で(短歌中心百合アンソロジー・きみとダンスを 寄稿作品)

2015年4月19日発行の百合詞華集「きみとダンスを」(頒布終了)寄稿作品。中山明さんのオンライン歌集ラスト・トレイン の一首の解凍小説を書きました。ちなみに本では一番最後に掲載されていました。実はちょっとした仕掛けを入れたりしてるのですが、結構…

とあるキャプション (短歌の超短編)

さて、次にご覧頂くのはこちら、初代館長の記憶です。ロビー中央に立つ等身大ホログラフはご覧になられましたか? 髭を長く生やした、ええあれがそうです。 死者の記憶の保存技術を開発した初代館長Tは、自らにはその技術を用いず遺体を完全焼却するよう、ス…

サヴィル・ロウにて(キングスマン・二次創作俳句連作)

サヴィル・ロウにて 秋の虹眼鏡をかけて人と会う 幽霊と囲む円卓桐一葉 荻の声お前の父を知っている スノッブと呼ばれて呼んで蛍病む 花桔梗「manners maketh man」と説き 涼しさや大きくなれぬパグといる 人類は致死性の熱遠花火 蟲送る血を見ることに慣れ…

セラフィールドの人魚(超短編・アイリッシュパブのほら話)

超短編フリーペーパー「コトリの宮殿 」19号掲載より。

連作・そしてまた夜は(アンソロジー・人は死んだら電柱になる 寄稿作品)

2014年夏コミ頒布開始「人は死んだら電柱になる」アンソロジーへの提出作品です。アンソロジーは現在は頒布終了 、国会図書館に納入されています。詳細は以下から。 人は死んだら電柱になる | アンソロジー告知サイト 掲載当時はレイアウトも各自で自由に決…

百を巡る短歌

Googleで誰か検索したらしい「百年の孤独 入手方法」 候補作でした。結果はこちら。 百を巡る短歌コンテスト、発表! - じゃぽブログ

2014紅白短歌合戦 / #バンド短歌カウントダウンライヴ2014

2014年のtwitterの年越しイベント二つに参加しました。 それぞれ以下の歌を提出・参加しています。今年も有難うございました。

さよならsandpit歌会

まなうらでくりかえす濾過(生きてたらもうそれでいい)硅砂が落ちる 山階基さん企画の歌会でした。題詠・砂。sandpitは砂場の意味ですがカフェの名前でもありました。 43名参加、沼尻つた子さんと一緒に大賞でした。ありがとうございます。 他の方の作品はこ…

てとてとたんか2

ジャグラーの手つきで空へ投げあげる苦しさ示すすべての語彙を 千原こはぎさんの企画、てとてとたんか2に参加しました。 手に関する短歌を手の写真と一緒に、ということで写真も撮ってます。 大葉れいさん、加子さん、西村湯呑さんの歌が好きでした。 てとて…

マラソンリーディング2014 with ガルマンカフェ(11/23)

マラソンリーディング2014 with ガルマンカフェ 日時:2014年11月23日(日) 場所:Cafe LAX - 東京都 渋谷区 時間 12:30開場、13:00〜開演(出入り自由) 詩歌朗読イベント、マラソンリーディング2014に平田有さんと出演します。 第四部(17:30〜)の3番…

なりそこない(連作・握手の代わりに手を)

君は私を人間だと言う。機械ではないと言う。 私はそれは違うと思っているのだが、君は決して受け入れようとしない。 私は今日も君に会いに行く。 握手の代わりに手を 通勤に支障はないと示すためすり抜けて行く自動改札 液晶をひたすら磨く帰り道消えない影…

人は死んだら電柱になるアンソロジー寄稿(C86・1日目、他)(連作・そしてまた夜は)

タイトル通り、人は死んだら電柱になるという設定だけを共有した創作同人アンソロジーに寄稿させて頂きました。 そもそも何でそんな設定のアンソロが……など、詳細は以下の専用サイトをご覧下さい。togetterが面白いです。http://deadendpole.wordpress.com/ …

大阪短歌チョップ・歌のかべ

もうずっと空とか見てないと思う地下街に似た明るさの中9票いただいてました。ありがとうございました。 (一人15票まで投票可能) http://www.tankachop.com/

みずつき3 (連作・地上へ)

地上へ さやさやと降る雨音に起こされて冷たい頬を手で温める朝飲んだ水は今頃心臓の薄赤色に染まりだす頃おしまいの日のお天気を考える朝の列車はまだ動かないいずれ処刑される王侯貴族らのように豪雨が過ぎるのを待つ断面に盛り上がりだす水滴は鉄の匂いを…

紅白短歌合戦(共同連作・べらぼうな旅)

どこまでもいけないのだね水槽に沈んだような車両は揺れて このひかりはきみの見ていたものですか これはビルです あれは、虹です あんまりはやく過ぎてゆくから散らかったルームそのままべらぼうな旅 ゆさゆさと笑う花篭遠くまで届け、届けと腕を振ったよ …

枇杷の実のなる頃

されば若夏 放つておいても枇杷みのりひとの往き来のしづかさの外 / 今野寿美 種はどんな種でも種だから、埋めたら必ず芽が出るとわたしは言ったのだけれど、 あの子たちは一人としてそれを信じなかった。 煉瓦色の鉢は花壇で見つけた。団地共有の花壇は手…

サルベージ・朝を探す

街中を彷徨うルンバの真似をして頭をぶつけながら逃げ出す何もかも光ってしまう窓辺では幸福ばかり目に付くのですほんとうは先も見えないままの笑みドアの向こうは乾いているね生き延びた者だけがいるこの星に足跡のつく重さで歩く 海は凪小さな舟は虹を産む…

サルベージ・音楽

1. また過ぎる夏に名前をつけてやるトンボの翅をむしったようにこの町の明かりと君をさらってく山賊となる晦日(みそか)、25時 看板と水銀灯で弧を描く君はここからスピカの位置だ 花として春の歌など歌うより君を汚せる泥になりたいまだ会えぬ君と一緒に僕…

サルベージ・そのあとのこと

音は皆部屋の外から響くのでここでは全て昔の話 着膨れた背を陽に当てて語り合う後の始末のそのあとのこと私達壊れていくね音もなく塩の柱の吹かれるように過ぎた日はちぎられ消える新しい日に細長く影を落として神様は探しちゃだめよ地下道をやって来るのは…

サルベージ・横顔がまだ見える(vdbl短歌より)

ファミマからおでんの匂い消え去って嘯くおまえ「永遠は無い 」銀紙を開く音のみ聞こえきてそれを二人の心音とする おしまいの紐が揺れだす帰り道「どちらが正しい生き方だろう」絶対に桜の味じゃない菓子を押し付けあって何かを真似た 潔い死に方について考…

冬薔薇

まづ茶器は温めるべしと言ふ君の言葉はほのか兄めきてをり妖精について語れる目の先を子犬とともにひたすらに追ふ冬薔薇滲む夕暮れあたたかく君の手ばかり読み返すなり適切な訳語がつひに見つからず愛とも恋とも言へずにしまふ息を詰め伸びる背のみを対とす…