つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

企画

お箸、二膳ください(短歌のふんどし)

コンビニ店舗は蠱毒の虫と同じだと誰か書いてた 青になったよ 捨てるべき場所できちんと捨てられるため開けられる爪楊枝いっぽん お箸二膳ください。背筋は伸ばしなさい。人間を人間として見なさい。 セルフレジありますというのぼり旗も項垂れぼくらが立つ…

紫陽花の国(みずつき8)

砂にまみれこの世にまみれ狂うとき一筋ごとに髪は膨らむ はつなつのなまぬるい水流れだす水とは水の体液のこと ティーポットの茶葉が膨らんでゆくのを甦るとは言わないでしょう? 濡れ髪を獣のようにまとわせて嵐は外を過ぎるものだと いえここは紫陽花の国…

砂漠の雪(角笛4)

砂漠の雪 いえそれはあなたの美しい砂漠だって余白は言葉ではない 歳時記はついに晩冬へと至り特急列車を見送るホーム 二―メラ―の警告をみな口にする泡立ちながらジャムは煮詰まる 輪郭が滲んでしまう青空は目を傷ませる光の反射 ジェイコブズ・ラダー 地上…

豊かな果実(色短歌ネプリ Tanka × Color)

豊かな果実 もうはけた芝居のために音もなく銀杏の黄色まだ降っている きらきらは満身創痍の言い換えでキレートレモンは硝子の小瓶 豊穣、と指し示される町中の鳥も食べない果樹の果実 スープ屋のクリームシチューに柚子の匂い夜の深さを両手で受ける 色彩が…

祈るかわりに(折句集め)

芸術家たち 捧げよう暗い星さえあたためる積み木細工の静かな歌を 千年の流刑に処され芸術は襤褸の服着た不穏な獣 気が付けばくりかえし逢うちはやぶる神さま(そんなんじゃないだろう?) あああれは彗星だけど(見てなさい)凛として咲く王国の花 まっすぐ…

オーケストラ短歌ネプリ

オーケストラ短歌ネプリの寄稿作品です。 オーケストラの交響曲(ドヴォルザークの七番)の特定の楽器パートを担当、楽器奏者として歌を詠む、という企画です。ありそうでなかなかない企画だったので参加してみました。 なお完成したネプリには記載されてな…

なんてあかるい

Twitterで「#なんて明るいさよならだろう」という付け句タグが流行っていたので。 30首連作です。

その器は欠けている(みずつき7)

その器は欠けている 海へ降る雨を日永に眺めれば火は一人称を知らないままで テーブルのペットボトルの紙コップななめのままに了承される 開かれて床に散らばるとりどりの そうかおまえもhydrangea 国会質疑書き起こしメモ読む昼休み台風の目は馬の目のよう…

Update failed. (バレンタイン二次創作短歌公募企画)

にんげんのうるさい身体もてあます目も肩も手も勝手に動く 血液に滋養を与へ、精神を補ふといふしよこらあととは たましひを補ふ菓子のあるならば奪はれることも これが心臓 美しくあれ鋭くあれと人に望まれし我等の如き西洋の薔薇 Update failed due to dat…

リップ・ヴァン・ウィンクル(角笛3)

リップ・ヴァン・ウィンクル もう二度と会わない知らないひとだから心置きなく手を振っていた それぞれの記憶の海の色合いをことばの中で混ぜ合わせては ポケットをひっくりかえすたぶんもう切符はとうに配られていた 習い覚えた異国の言葉になじめずになじ…

創世記から(CDTNK短歌再録)

それぞれに神話を語り火を灯す OK,Google、創世記から ルンバにも進化はあって水掻きの名残のような地雷の記憶 あなたにはあなたの心拍数がありあなたの時間がある 手を握る

あしたのタンポポ(文フリフリーペーパー再録4・コピペ短歌)

あしたのタンポポ かみさま くるはずのないあなたにはタンポポ光るきんのかんむり 三日月に指切りをして迷わない目が覚めたならぼくら大人だ ひとりなら得意なはずとふるえぬよう見渡す限りの思い出をくれ くい込んだ右手のシワの描いた絵の 今夜のことは忘…

太陽だった(文フリフリーペーパー再録3・コピペ短歌)

太陽だった 約束を どんな言葉を並べても今は雨さえ眩いばかり 忘れたくないから世界を讃えるよことば言葉 君が足りない 雨の狭間 両手で抱えきれなくて愛しかったことだけが真実 薄化粧した淋しさを抱きしめる山ほどの花どうもありがとう 愛なんてきっと神…

ごどーはいないね(文フリフリーペーパー再録2・コピペ短歌)

ごどーはいないね 待つばかりだけど開幕当面は透明なのは当然だから 全力でいっても所詮迷うから最小限でまわるプロペラ 背には花 絶頂はいまだけのものそいつは良いとお前は言って おれもお前も総集編とかないからさ素通りされてわらうしかない でもいつか…

運ぶ 揺らす(文フリフリーペーパー再録1・コピペ短歌)

運ぶ 揺らす 一人から恋は生まれるこんなにもみにくい夜が色づくなんて 白鳥とカラスがたぶん似てること虚構の街に風がふくこと 物心ついてからいつも泣きそうだこの世の誰にも意味なんてない 混ざるのは指だけだからいつかいつか見えなくなると君を揺らした…

グッナイ・バディ(ネプリ企画再録2)

ただいまと誰にともなくつぶやいて静かな部屋にあかりを灯す おかえりと迎えるはずが力尽き今夜も猫に先を越される 金の瞳をほそめて彼はしらんぷりきみとの今日のいたずらのこと 本日も不肖下僕の背に乗ってご満悦なる猫さまでした ちぐはぐなバディよすす…

デイジー・デイジー(ネプリ企画再録1)

あおいあおいGoogleEarthの海底が今日も綺麗で海に行きたい 港まで道案内をしましょうかそれとも空を見上げましょうか 真空の宇宙で星は歌うこと それで恋人は君にいますか 恋人がいれば今ごろ夕焼けの青くかがやく火星にいます ロケットは持ってないからで…

The October People(仮装俳句 より)

花嫁にいつか捧げる草の花 薬掘るもはや死からは遠けれど 本物は白、囮には赤い薔薇 ともだちもぼくも映らず水澄めり 遠目には渡り鳥にも見えるだろう 凶作やドラッグストアの増血剤

花を贈る(短歌解凍掌編)

自分がにんげんでないことに気付いたのがどれほど前のことであったか、もう覚えていない。 にんげん達や獣たちにひとしく流れる時の川、そのさざ波はわたしのもとには届かない。あるいはひどくゆっくりと、海に落とした木の実のような遠さで届くらしい。同じ…

図書館ほしまつり

(当館にある星の本を集めました。) あるびれお 新潮文庫の青色に浮かぶ十字に手は重なって 夏の月まだ百歳にもなってないぼくたちだからまちがいばかり すべて星、あるいは星であったもの。(天の光はすべてみなしご) 幼年期終わらぬままに夜は降り取り残…

season words(CDTNK夏フェス2017)

わたくしがわたくしを殴る縁日の琉金 尾っぽのあざやかなこと 髪洗ふおふぇりや達にことば、ことば 湯上がりのような顔して改札を並んで抜けて明日の約束 真夜中のしづかな踊りぼくの影 ハンドソープ押しだすように陽はあふれ死者と生者の影淡くなる 突き出…

あめがやむまで

6/13~6/15にtwitterで行われた「付け句祭」で書いた付け句による50首連作です。 ハッシュタグ「#雨がやむまでこのままでいい」を使用、下の句を「雨がやむまで~」とした短歌を各自がTLに投稿していました。なお「付け句祭」自体はいろいろなお題で開催…

シュレディンガーの傘(みずつき6)

シュレディンガーの傘 どこからが雨雲なのかわからない空の下でも無防備だった ロッカーの遠い密室開くまでシュレディンガーの傘の花柄 曇天に開くてのひら法律が雨になるまであとどれくらい? 紫陽花に香りはなくて暗がりに寄り添いあえば震える睫毛 雨の気…

Vuelta(アニポエvol.5「スポーツアニメ特集」)

Vuelta 蓋取れば茄子の酢漬けの五日目は食べ頃としてしずもりをりぬ コンセント挿せばちひさく散る火花ゆめの甘さは遠くなりけり 風戦ぐアンダルシアを映すときブラウン管に立つ砂嵐 消失点 破線であつた白線がいつぽんとなり漕ぐ吾がゐる ブレーキを握らぬ…

大夕焼( #二次創作短詩ポスカラリー ・2)

飛べぬなら鳥には死ぬも同じだと告げくる君の呼吸熱くて 狩るときの眼はいつぽんの矢のごとし黒き鏃(やじり)が獲物へ向かふ 心臓を抉れるほどに近づけばとろ火のごとく匂ふ肉叢(ししむら) 夜は降るやわらかき草育める短き雨の静けさのなか 殺したと顔を歪め…

幻の棹( #二次創作短詩ポスカラリー ・1)

「それはまた別の話」と締めらるる寓話のごとく会話は途切れ 陽を浴びし乳白釉の幹のいろ風吹けばふとほの明るみぬ 池水が翡翠のごとく凪ぐ真昼ときに人語は檻のごとしも 忘れてはまだをらぬゆゑいつまでもすつとぼけたる会話が続く たまさかのふたり過ごせ…

そして崩れる

そして崩れる わたくしの影も眼鏡を持っていて時折外しレンズを磨く 俯いた君をまっすぐ貫いていつかは帰る星なのだろう やわらかなだるま落としとして甘いパンケーキつむ(ちょっと崩れる) さいはてかさいしょの場所かわからずにふたり見つめる海の青さよ …

エヴァンを棄てる 他( #vdbl俳句 2017)

エヴァンを棄てる 泥拭い落としひとりのバレンタイン 夜の梅スニッカーズはちぎるもの 告白はしないが 魚(うお)は氷(ひ)に上る 銀紙のちりちりと鳴る愛の日よ たんぽぽを頭にのせてチョコになれ みんなうそ。猫の舌とはチョコのこと。 朧月キットカット…

吹雪のあとに(角笛2)

カーディガンの裾はためかす早足で次のページを目指し歩いた 雪原に雪降りつづくそのなかの足跡としてピチカート鳴る 最終行でぜんぶ反転してしまう叙述のように ここも地獄だ ヤミゴメに似たものを食べ生きている歯の抜ける夢をくりかえし見る 人混みに肩い…

聞こえなくても(みずつき5)

青空の下で見ていたひどい夢いつかあなたに降りかかる雨 街灯に夜の草むら香りだし死者の記憶は立ち上がるもの 雨音にこめかみ冷えてお祈りは聞こえなくても続く(けれども) 両手からこぼれるように慣れるだろう負けていること目を伏せること 散る花をアス…