つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

深呼吸する幻覚

深呼吸する幻覚



でも今は沈没しててもいいですかカーテンコールの夢を見ている

もうずっとここにいるとも言えないで書きあぐねてる白紙のページ

絶望をすることもない瞳なので世界を見詰めるふりをしていた

生き残る天使のように遠くから皆が死ぬのを待つような視界

屋上から飛びたくなった友達を止められなくても人は生きてく

流転する 水、潮、電子。 この文字を書いたあなたは旅に出ました

「届きますように」だなんてまるでもう呪いみたいね復讐劇の

花吹雪 向こうに敵はいないんですただ風だけが吹いてるんです

ブラボオ! の声は決して来ないので叫んでいいと認めてしまえ

そのナイフあなたのでなくこの胸を刻めばいいと思ってました

傷ならば絆創膏は剥がさなきゃまだ濡れた皮膚空にさらして

忘れてた、それとも忘れられてたの 「Hello, Goodbye」冷たい鏡

幻覚は君の意識が見せるもの深呼吸する君に会いたい

いつか皆文字だけ残し消えるならもう少しだけ書き続けます

差し出した掌の先いたらさあ握手をしようこの先へ行く

旅立ちは美しいです喪失は必ずあります、勿論です


「見ています」「ここにいますよ」呟きは開演ブザーにかき消されてく

それできみは何になったの、そう問われ生きているよと手をのべる日々




幸福な終わり、幻。 始まりは 泣き腫らした目 静かな朝に

and you.  と言われたのならパーティーはやはり終わってしまったのです。




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劇団「第三舞台」解散公演「深呼吸する惑星」の大千秋楽ライブビューイングに寄せて、思うことはそれこそ一番最初、劇団との出会いから始まって多くあったのだけれども、どうも纏まらないので、こんな形になりました。
合計20首。うち10首は大千秋楽夜に書いたもの、一部修正あり。