月光に紛れて腕をさ迷わせ貴方の角に一瞬触れた
雲がみな腫れぼったくて飲むコーヒー夢の中では泣いてましたか
私だけ乗せれば雨に沈むほど小さくもない君の方舟
「ほんとうに人間はいいものかしら」狐のふりで呟いてみる
もういないもういないんだと伸びた手がかき集めだす満開の花
鴨川の罪人の首突きながらドライアードが橋渡りだす
冬の雨打たれて花は閉じぬまま待ち続けてる紅の梅
この大地では安まらぬ 梢から振り落とされる眠る鳥たち
宇治の木が髪振り乱し駆けるので貴船の木々が総立ちになる
両の手を広げて待てど春は手をすり抜けていく銀杏の並木
もうわたし誰にならなくてもいいと解き放たれた桜が笑う
足首に絡んだ骨を拾い上げ鳥野辺を抜け常若の国(ティルナ・ヌオグ)へ
音の出るマッチその一本として大音量で君が燃えだす
ふれたことなくても高らかに歌え インドの虎もほんとの恋も
人間のようになりたく髪染めてスーツ着てみる春・初音ミク