つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

夜の森

真夜中の後頭部から声がして誰も私にごはんをくれない

嘘不信逃げる疑う責め立てる貴方がいない貴方がいない

ぼくだけが一番だって言っててよ意味が無くても言って、言ってよ

ぼくだけがいてほしいって言っててよ意味が無くても言って、言ってよ

ここからはもう永遠に出られない死ぬまで私のままの私

あまりにも木が多すぎて夜の森大切なものが目に見えない

君の刺、君のこと守れない刺、それでも君が持っている刺

このままじゃ私妖怪になっちゃう。人間なんて一人もいない

君が君の星へ帰れますように約束全部夜空で光れ

パレードが青空の下進む夢互いに違う星の人々

暗号として光る星 そういえばわたくし宇宙人なのでした

また同じ場所であなたと会いましょう時間がかかるのは確かです


++++
劇団「虚構の劇団」が色んな演出家さんのもとへ行く「虚構の旅団」公演「夜の森」(演出:木野花)を昨日見てきました。
精神病棟の人々が「星の王子様」の劇をするという設定上原作の台詞が多いのですが、聞きながら、ああそういう意味だったのかと改めて発見が多かったです、私は「星の王子様」ってどうもぴんと来たことが無かったのですが、冒頭で朗読される、刺を持っているのに羊に食われてしまう、でも刺を唯一の武器とする薔薇、というのは確かにかなしいな、と。
並行して語られる各人物の物語は同じテーマの変奏曲だと思うのに重層的に畳み掛けられるような感じがいまいち足りなかった印象なのですが、病気の対応に苦慮しているだけの夫婦の台詞が最後に何かの象徴のようにすら見えてくるような、演技の切実さや痛々しさにはひたすら圧倒されていた感じでした。

小さい劇場で、終演後劇場出口に役者さんがいて友達と話してたり、そういえば大学の劇公演もこんなだったなあ、と久し振りに思い出しました。