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つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

サルベージ・嵐の後

うた

放られて折られし枝のやうな腕じつと見ている 嵐は過ぎた

濡れたもの全て乾いて明け方の薙ぎ倒された森ただ静か

越えて行く鳥、馬、魚、花の種 国境だけが何処へも行けぬ

真っ黒に染められてゆく人間を見送る桜風に膨らむ

外は雨。濡れる桜を過ぎ行けば窓の水滴全部花びら

冷凍の魂徐々に溶かされて柔らかくなる夜更けの車両

健やかでなくとも我は我のまま傘は忘れた手ぶらで帰る


乱反射続けるこれでもうおしまい三月は波打ちつつ光る