つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

サルベージ・遠くを見やるのは真昼


あ。わたしの中の水位が上がりだし波際白くあわ立っている。

夏の灯はみな脈をもちここからは素足で触れてゆくアスファルト

この夏も過ぎてゆくものだと思う光る窓辺の影ばかり見る

夕暮れに塗り潰されていく私 君から見れば影なんだろう

誰も誰も悪い人などいないいないいないと思い撫でてる小鳥

痛みがそこにあると思ってああいつも遠くを見やるのは真昼

この影も滲みだしてゆき夕暮れはすべての色が溶けてゆく場所