5/4のSCCにてリリース(頒布)されるアンソロジー「THERE'S A VISION」に短歌連作で参加します。
アンソロジーの詳細はこちら。
CDサイズ特寸本、12名によるアンソロジーです。表紙のイラストがとても綺麗なのと、豪華メンバーと好きな曲ばかりなので、読者としても読むのが楽しみです。
主催のあずみさんには表記の関係など大変お世話になりました、ありがとうございます。
ちなみに私は「五つの橋」で参加します。短歌の30首連作です(上記リンク先で冒頭2首が読めます。5/5追記:29首の間違いでした、すいません)。結構人気の曲だと思うので緊張しています。
ちなみに原曲歌詞も75調が多いです。
五つの橋/ZABADAK-カラオケ・歌詞検索|JOYSOUND.com
印象的なギターから始まる五つの橋ですが、物語仕立ての歌詞も相まって情景が鮮やかに浮かぶ……ようで、実は結構不思議な歌詞だなと結構前から思っていました。
まず、楽器が何かわからない。
私の個人的な感覚では歌詞二番に出てくる「チャルダッシュ(チャールダーシュ)」はヴァイオリン演奏で有名なモンティの曲があるので(運動会とかでよく使われてます。ただし調べたところ、もとはマンドリン用に作曲された模様)ヴァイオリンのような気がしてしまうのですが、一方で冒頭イントロのギターの印象も相まってか、一番の中で歌われている楽器は吟遊詩人の持つリュート系のイメージもあったりします。
原稿提出後、この歌に出てくる「古い楽器」がどんな楽器だと思うか、twitterでアンケートも取ってみたのですが、ヴァイオリン系、リュート・マンドリン系、ハープ系と結構票がばらけて面白かったです。実際、そう思って歌詞を読むと楽器が特定できるような情報は余りありません。この世界には存在しない楽器、という可能性だってあるわけです。
次に(これが現実世界の話だとしたら)時代がよく分からない。
「チャルダッシュ(チャールダーシュ)」はハンガリー系の民族音楽がもとではありますが、実際には19世紀、すなわち民族自決主義の時代(国民楽派の時代でもある)に生まれ・流行したものです。ではここで歌われているのは全部19世紀の話なのか、というと、しかしちょっと迷ってしまうところがあります。「国境の草原」とか「見張りの塔」とかのあたりはやっぱりもうちょっと昔、中世、吟遊詩人の時代を想定しているのではないかなと。
更に言えば「旅の男」はどこを旅しているのか。地形やルートにもよりますが五つ橋を渡るって結構移動距離長くないか、とも思ったり。
いやいやそんなこと気にするのはお前くらいだ、そこはふんわりファンタジー世界を楽しんでおけよと自己ツッコミはいれつつ、でもだとしたら三人称の遠く綺麗な回想でなく、「旅の男」と今は店の中で眠る「古い楽器」はかつてどんな景色をリアルタイムで見ていたんだろう、というひとつの可能性として連作を作りました。
ジプシー、吟遊詩人、流浪の民、旅芸人といったモチーフには幼い頃から憧憬がありますが、ではたとえば旅を続ける「旅の男」にとって「見張りの塔」とはどんなものだったのだろうか、とか。
少しでもお楽しみいただければ幸いです。
なお、SCC後はデザフェス、夏コミなどで頒布予定のようです。通販は無いとのこと。詳細は上記リンクをご確認ください。
さて、話は変わって。
web文芸誌「片隅」での1年間の連載が終了しました。短歌とエッセイを掲載していただいてました。
「片隅」(を運営している伽鹿舎)はこれから紙媒体の出版業がメインになっていくようです。つい先日、雑誌「片隅02」が刊行されました。
先日の地震のこともあり、いろいろと慌ただしい中雑誌が刊行されたことは奇跡的なことですが、一方で関係者の方にとっては大変なことだろうと思っています。
文学も、地震のことも長期戦のことなので、関係者の方におかれては難しいけれどもどうか無理をしすぎず進んでいけますように、と思います。
こちらも、またご縁を頂けるよう頑張りたいなと思っています。