ただしかった、ただしかったとくりかえすあなたのための夜のクリック
水面に指ふるるごとログインのたびにぼやける感情がある
ガラス器の継がれてなおも立つ様を景色と呼べば遠い虐殺
どんな夜だっていつかは明ける(福田恒存 訳)
明けない夜は長いからな(松岡和子 訳)
The night is long that never finds the day. 理由も知らずこの夜を行く
吹く風にまとわる衣腕に絡げいいかいこれはみんな夢だよ
Fragile-Handle with care / This machine is made of Sakura,Sakura.
窓鎖せば薄暗がりに花冷えて春には春の仮想現実
死んだ人、もう会わない人、最初からいなかった人 電源を切る
私は、……人殺しだけはしないことにきめようと思う。(寺田寅彦)
どこからが歌かわからぬような歌ばかり歌ってにんげんみたい
うばたまのデスクトップから目を逸らすまちがっていたまちがっていた
京都文学フリマで配布したフリーペーパーでした。
10首中5首はtwitterで刀剣短歌(刀剣乱舞二次創作短歌)としてpostしたものです(一部改稿あり)。文学フリマの会場でぼんやりしていたらtwitterのフォロワーの方から、「ガラス器の~」の歌が東京新聞歌壇の特選になってますよとご連絡いただいてびっくりしました。ありがとうございました。
なお福田氏、松田氏の文章はマクベスの台詞「the night is~」の各氏の英訳、寺田虎彦の文章は寺田寅彦 柿の種 の「人殺しをした人々の魂が、~」と始まる短文からの引用です。
詞書や歌の改行位置など、同人誌は好き勝手できるから楽しい。