つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

現代詩手帖と刀剣短歌について

現代詩手帖10月号の誌上アンソロジー連載企画「川口晴美と、詩と遊ぶ」掲載・石原ユキオさんの俳句連作「四代目中村地球三郎第一句集『宙乗(スペース フライト)』より」の俳句詞書として拙訳による短歌「ほろぐらむ夢のあなたを手にかけてしんと明るむ愛といふもの」を引用頂いてます。ありがとうございました。

誌上アンソロジーは共通設定で複数の作り手が作品を作る企画で10月号が最終回だったのですが、【女性が死滅した後の社会(「女性」と接した記憶のある世代はもうほとんどいない。凍結卵子と人工子宮によって子供はまだ生まれ続けているが、XXは死産となってしまいXYしか育たない)で暮らしている】という設定でした。レイアウトも毎回とても凝ってて面白かったです。

 

ちょっと裏事情を解説すると、引用頂いた短歌もともとtwitterで「#刀剣短歌」タグを付けて流したものです。

「#刀剣短歌」タグはオンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の二次創作短歌用のハッシュタグです。刀剣短歌については2015年7月頃、「刀剣伝授」と題したネットプリントアンソロジーを企画・発行させていただいているのですが、こちらに掲載した拙作にこんなものがありました。

 

ほろぐらむ。夢の名前を吾に告げし主はまことうつつにありや (fragments収録)

 

こちらについて、当時ユキオさんからこんなコメントを頂いてました。

 

 

こちらのコメントになるほど枕詞なら「夢」「うつつ」あたりにかかりそうだなあとふしぎな納得を覚えつつ、これ以降刀剣短歌で「ほろぐらむ」を入れる際はそのあたり多少意識しつつ作っていたのですが、その中の一首が上記の「ほろぐらむ夢のあなたを~」(記録では2016年前半に詠んだようです)になります。2016年秋に出した刀剣短歌集「fragments」の名義が穂崎円・訳となっているため、詞書でも同様の記載をお願いしました。「fragments」に収録するか、実は結構迷った歌だったのでその意味でも嬉しかったです。

ちなみにユキオさんの俳句も「ほろぐらむ」の現在推量っぽさを活かされてるなあと思います。ご連絡いただいた際に上記の設定で歌舞伎というモチーフを出してくるのが本当にすごいなと思ったのですが、ほかの方の作品を見て改めてイメージの飛躍がすごいなと思いました。

(余談ですがこの回の世界設定、語弊があるかもしれませんが作り手の性別で作られる作品の内容に差があるような気がして、その意味でも興味深かったです)

 

とはいえ言うまでもなく現代詩手帖を普通に買われた方はこんな事情はご存知ではないわけで、訳者名込みでフィクションと思われる方がいたらちょっと面白いかもな、と思います。