つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

オーケストラ短歌ネプリ

オーケストラ短歌ネプリの寄稿作品です。

オーケストラの交響曲ドヴォルザークの七番)の特定の楽器パートを担当、楽器奏者として歌を詠む、という企画です。ありそうでなかなかない企画だったので参加してみました。

なお完成したネプリには記載されてないのですが、提出時には想定している小節番号と合わせて歌を提出していました。

ちなみに曲のスコアはこちらからDLできます。が、結構見るのは大変だと思いますのでなんとなくのイメージでお読みいただければと思います。

 

担当パート:ファゴット

木管楽器の中では最も低音。オーケストラでは低音弦楽器であるチェロ、コントラバスと同じ旋律を演奏することが多い。オーボエ同様、乾燥させ削った葦を二枚重ね合わせたダブルリードに息を吹き込み、音を鳴らす。

オーケストラの木管楽器は指揮者正面に二列で配置されるが、ファゴットは奥側二列目に座る。奏者から見ると目の前にオーボエ奏者が、右斜め前にフルート奏者が、右横にクラリネット奏者が座ることになる。参考 )

 

 

 

第一楽章

100~103小説
息吐ききつてひらめける笛の銀色を受け止めやうとベルを回せり

115小説
B♭キーに重心掛けながら身体は傾ぐクラリネット側へ

 

第二楽章

51小説
飛び去りし鳥の軌跡を追ふやうに吹き終へたのち放す唇

105小説
夕闇が夜へと変はる境目の暗がりとして吾がロングトーン

 

第三楽章

冒頭~10小節
誰しもがチェロと思ひて聴ひてゐるのだらうけれど 吹いてますから

93小説~
ハーゲンダッツ・バニラを削るスプーンのやうに吹きたし第三和音

 

第四楽章

32~35小説
くさはらのふいに揺れたる尾のごときクラリネット奏者の背伸びの気配

96~99小説
息吸ひて膨らめる背を見据ゑつつ左親指はキーをとらへて

316~324小説
上くちびる、下くちびるのそれぞれの圧変へながら跳躍長し