つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

サルベージ・フォーカス

満月へ汽笛を鳴らし走り出せ眠れない夜、終わらない問い

さめてゆく夢は光の速さゆえ朝っぱらから置き去りの身だ

兆候は既にあったと言ってまた眠りこみたくなるような夢

車窓から覗く妄想抜いて行け君がこちらにい続けるため

空想の翼はたはた胸で鳴りかなしい話が舞い上がり出す

煌々と明かりは射せど夜は水壁の内から染み出してくる

フォーカスは夜に合わせて散らかったさみしさどかす 映らぬように



チョーク粉を白くはたいた両手から私ではない生き物となれ

脳みそか手足心臓そのどれを入れ換えたなら人間になる

あいつらはみんなばかだという声は私だろうか満員電車

国または政府と書かれた箱かぶり「中ノ人ナドイナイッ!」 のふり

松脂は茨の靴よ金属の弦を踏みしめ歌った尻尾

私には見えぬ人らを運びつつひとりで歌うエスカレーター