つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

第三十回歌壇賞および第一回笹井宏之賞応募作について

第三十回歌壇賞応募作が候補作に、また第一回笹井宏之賞応募作が最終選考候補作になりました。
歌壇賞応募作の「草の心臓」(連作30首)については30首全首が2019年歌壇2月号に、笹井宏之賞応募作の「くりかえし落日」(連作50首)については10首抄がねむらない樹vol.2に掲載されています。
 「草の心臓」については選考座談会で言及いただきました。連作について構成含め評を頂く機会はこれまでほぼ皆無だったので大変ありがたかったです。

なお「草の心臓」は文語混じり旧かな遣い、「くりかえし落日」は口語新かな遣いの短歌連作になります。機会があればお読み頂ければ幸いです。

  

 

 


わたしは短歌を作りはじめたのが2012年で、投稿もあまり活発にやっていません。一昨年は東京歌壇に比較的頻繁に投稿していてこれが唯一長く続いた例ですが、これも最近は余り投稿できていません。

7年ほど、短歌についてオンオフで試行錯誤していたわけですが(今もしています)、一番やっていたことは恐らくtwitterハッシュタグ付きの二次創作短歌を詠むことでした。これまでに詠んだ短歌を一次、二次で分類するとしたら、4:6くらいの割合になるのではないかと思います。文語混じり旧かな遣いの短歌に限定すれば1:9、あるいはそれ以上に二次創作短歌の割合が多くなるかもしれません。

結社などに所属していないのも投稿をそんなにしていないのも自分が息のしやすいほうへしやすいほうへ移動を繰り返して気が付いたらそうなっていたというだけの話なのですが、もし自分が、短歌の賞の予選を通過するために必要な技術の習得やら蓄積といったものをできているのだとしたら、その一端、いえ半分以上はどう考えても、二次創作短歌の創作経験が担っていると思います。

 

……という事例もあるんですよ、ということは、以前こんな本を主催してこんな文章を書いたこんな本をつくった立場として書いておいてもいいかなと思ったので、書いておきます。別に何を受賞したわけでもないのですが、2号から編集スタッフとして参加していた同人誌・BL短歌合同誌共有結晶が昨年秋に区切りの号として4号を頒布したので、その意味ではこういうことを書くのには丁度いいタイミングにそれなりの成果が出せて良かったなと思います。

でも、私のような人間は少なくとも今は決して珍しい存在ではないだろうとも思います。

今後は面白いものを作りたい、と共有結晶vol.4のアンケート回答でも書かせていただきましたが、今もそう思いますし、短歌と出会う前からずっとそう思っています。