2014-05-26から1日間の記事一覧
夢の跡。君のオカリナ吹いたこと。窓の下へと手を振ったこと。
冷凍の鮭の切れ目が鍋の中取り戻しだすやわらかな赤
ぼくたちはちょっとずつずれて日を回す中華料理のお皿みたいに
宴席の声は分厚い雲となり土砂降りだなと氷を回す
バックルを留めれば足の甲に風ふわり春へと歩き始める
ふいに何かが視界を因数分解したような朝だ虹が揺れてる
理由とか考えたくないような夢見て目覚めれば光るパソコン
人のものを盗んだようです。母の字を古い連絡帳に見付ける
君の砂がこんなとこにも入ってて振って叩いて結局捨てる
栗ご飯の米に染み付いた甘さのような記憶がまだ残ってる
噴水、あれは燃えることのない流星。旅立ったなら帰りましょうね
材料の分からぬスープ嗅ぐように犬はわたしに鼻を寄せくる
銀のナイフで掬うバターが柔らかくパンを抉ったここからが春
窓からのぜんぶがしろい炎ですこめかみだけが脈打っている
応答せよ録音されず死んでいくあらゆるものの声よ(わたしよ)
信仰として君を見ていた がっかりはされたくないと思ってた
遠くまで行きたいんだよ(生きたいね)蕗の皮みなまっすぐ落ちて
ああ雨が降っているのか部屋中を保冷バッグの暗闇にして
緞帳を右手に絡げ引き裂けば関東平野にあめ、降り注ぐ