つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

2012-01-01から1年間の記事一覧

年越しバトン’12

「痛覚」でやっている年越しバトン。例年参加させて頂いております。・2012年のこの一冊! という本を教えて下さい。(2012年発行でなくとも構いません。コミック可) (タイトル・著者名) ・「なのはな」(萩尾望都) 震災直後にこの漫画を描けたということ…

Homo sum.

2012年11月の三連休に南三陸町のボランティアツアーに行ってきました。被災地へのボランティアツアーは幾つかあるのですがその多くが長距離バスに乗っていくものです。 初めてのボランティアツアーということもあり、体力的にバス移動は全く自信がなか…

サルベージ・沈黙の行進

一瞬で崩れる細工を夢想する私の職場は九階にある 沈黙の行進として窓の灯は光り続ける夜が明けるまでおとなしく老いた愛馬を引くように低弦担ぎ歩み去る人 呑むことを忘れるために呑む酒のように過ごして迎えた夜更け 「たましいは月面でのみ呼吸する」列車…

うたらば・ブログパーツ短歌

空風にさらわれてきた細菌を吸って誰もが寂しい季節 (テーマ:細)

サルベージ・破いたら星

今はもうありえぬ未来予想図を呼吸のリズムで破いたら星雪原を進む羊の群れとしてホットミルクの溢れ出す部屋 延べられる手などないこと街灯に暴かれ木々は夜凍り付く国は土だろうか赤い林檎の実囓れば沁みるこの島の土 稲畑を犯す花色黄色くてやめるつきの…

象を撫でに行く

三連休に南三陸町に行ってきます。 旅行会社主催のボランティアツアー、初めての岩手です。 +++++震災直後、職場の同僚が仲間を募ってレンタカーで被災地ボランティアに行ったりしていました。結構沢山いたと思います。今でも継続して行ってる人もいる…

サルベージ・君の救い主

サーフィンというよりむしろ溺死だろうマウスを伝い冷えていった手 もう君の救い主にはならないと告げつつ一人丸まりゆく背 鐘の音は澄み渡るだろう秋空にあくがれだけを引き連れてゆく窓越しに震える影がひそやかに囁く夜明け「いきのびたねえ」 並行ですら…

サルベージ・フォーカス

満月へ汽笛を鳴らし走り出せ眠れない夜、終わらない問いさめてゆく夢は光の速さゆえ朝っぱらから置き去りの身だ 兆候は既にあったと言ってまた眠りこみたくなるような夢 車窓から覗く妄想抜いて行け君がこちらにい続けるため 空想の翼はたはた胸で鳴りかなし…

うたらば・ブログパーツ短歌

ほら走り出すことはもう出来ないよ言い訳代わりのきついパンプス (テーマ:走)

ゴーシュ2、あるいは音の出る箱

「表情ということがまるでできてない。」 セロを抱えてボーカロイドは見たこともない夢だとか未来とか調教された通り歌うよ 仕様書に書かれたものしか知らなくて異常値ばかり出力してるブレスする一拍のいらぬ歌姫は深呼吸したことが無かった (……おいゴーシ…

うたらば・ブログパーツ短歌

なぐさめの形を知らず携帯の横幅ばかり覚えていた手 (テーマ:手)

サルベージ・外耳道

金曜日ドラムいよいよ速くなり千の光が籠城をする 矢をつがえ引き絞られた弓ばかり見回せば皆強張った背で 生け贄の一つも無しにもう会わぬ人のゆくえを映す液晶 人らしき形を保つ栓として外耳道から挿すイヤフォーン ザンドマン砂を降らせよ夜の傘回せば開…

うたらば・ブログパーツ短歌

青空の記憶ばかりが幾枚も重なっていく長い黙祷 (テーマ:長)

サルベージ・素片連結

見下ろした午睡の船は静かなり沈めるように逝くならば夏 影さえもみんな足から伸びていて誰も私といっしょに死なない 終わらない夏休みの影追い掛ける空がぐんぐん燃え出す頃におかえりを言うための場所にもう誰も戻らない気もしてる夕焼け (暴動か?)(いえ…

夕焼け

掌をどれだけ集めて勝てるだろう巨悪とやらにじっと手を見る 白桃を剥けば蝕む黒い種生まれた時はなかったろうに 祈りとは元は怒りであったのだ怒号流れて風風揺れるひとりだけ生き延びたような夕焼けがまだ続くので走って帰る 通り雨濡れだす君の髪の毛がひ…

題詠blog2012感想

初参加が無事終わったので、記録として。基本スペック。元々短歌は読むのは嫌いではなかったのですが(かんたん短歌blogはよく覗いていました。その後、文学フリマの詩歌コーナーを友人に紹介されて色々見て回るように)、1月に好きな劇団が解散したのを切…

完走報告(円)

完走しました。所要期間は半年弱といった所でしょうか。 初参加のためまずは参加することに意義がある、と思っていますが、色々と面白い体験でした。運営の方、有り難うございます。 トラックバックミス等でご迷惑をおかけしてすいません。 完走者のお作を、…

100:先(円)

この先で待っているよと言いながら振り向いてみるひとりの道を

サルベージ・金曜日

まだ歩く理由をひとつ、ふたつみっつ水銀灯の数を数えよ 街路樹の途切れたアーチ、その続きひとり描けば空もくぐれる 赤い舌だらりと垂らしその奥を見せつけながら花は枯れゆく 生まれてしまったし生きてしまったしまったしまったなにもない日々 もう決して…

99:趣(円)

うそつきは嫌いといううそつきばかり素肌のような趣向をはたく

98:激(円)

本当に激しく燃える火は青いあれは不知火、人の魂

97:尾(円)

臍の尾を切られたあとが痛むので手当たり次第つかむ蔓草

96:拭(円)

拭き取った色と一緒に告げるべきことを忘れた顔にタオルを

95:樹(円)

ただ春に薄紅の花咲かすため死人のように捻れる大樹

94:担(円)

加担した罪悪感が君もまたそんな大人になったねと言う

93:条件(円)

わたくしである条件すらも溶けていく青い空には空だけがある

92:童(円)

受話器から響く童謡に合わせて広がっていく黒い渦巻き

91:締(円)

この星をひとまわりした電線が君と僕とを締め上 げていく

90:舌(円)

もどかしい言葉の代わりに花だけを舌下に埋めた種子が溶けだす

89:喪(円)

勇敢な夏の青さえ褪せていく喪うことが怖い夕焼け