つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

51:囲(円)

包囲網かごめかごめかごめの問う声は聞こえないふり 家路を探す

50:活(円)

一行を落下していく指先に刻まれ消える活版の黒

049:敷(円)

まだ小さい足が冷たくならぬよう海一面に花びらを敷く

048:謎(円)

謎、魔法、シャツ、鍵、電話 かけられて 最後に優しい声だけ残る

サルベージ・満開の花

月光に紛れて腕をさ迷わせ貴方の角に一瞬触れた雲がみな腫れぼったくて飲むコーヒー夢の中では泣いてましたか 私だけ乗せれば雨に沈むほど小さくもない君の方舟 「ほんとうに人間はいいものかしら」狐のふりで呟いてみる もういないもういないんだと伸びた手…

047:ふるさと(円)

「ふるさと」は柔らか過ぎて似合わぬとそっと箪笥に隠す東京

046:犀(円)

月光を貫き濡れる犀の角つるりと撫でる 君は、冷たい

045:罰(円)

罰という言葉も知らず蜘蛛の巣に砕かれ光る蝶々の羽根

044:ドライ(円)

幾千の足引き抜いて山駆けるドライアードの満月の夢 ドライアード……樹精(dryad)

043:輝(円)

暗闇に輝点積み上げ生きる街あか・みどり・あお 砂嵐吹く

042:稲(円)

曇天を銀色に裂く稲光じっと見上げる 手放して良い

サルベージ・夜のおまじない

ひそやかなまじないにより春が来るコーンスープの鍋を混ぜれば 花びらの開く音して梅の香は冬の夜空へひかりの速さ 抱き締める相手が欲しく電線に重さ預けて真夜中の蔓 もう君は何処へも行かず死んでいい飾ってやろう藤の花房電源の供給源が見つからず目覚め…

041:喫(円)

君の方舟に私が乗ったって喫水線は上がりはしない

040:勉強(円)

ありきたりな嘘にいつも気づけない勉強なんてしてないよとか

039:蹴(円)

つま先で春を蹴り上げまた一歩落としてはだめ落としてはだめ

038:的(円)

標的になると夢にも思わずに車両に積まれ眠る人々

037:牙(円)

なまくらと自虐しつつも牙はあると根拠もなく信じてる君

うたらば・ブログパーツ短歌

世界中の辞書積み上げて伝えたい僕の見ている空の色とか(テーマ:伝) 20131118追記:評をいただきました、ありがとうございます。 http://blog.livedoor.jp/mk7911/archives/52077803.html

036:右(円)

右腕を伸ばして羅針盤のふりrightはlight、明かりはこちら

35:むしろ(円)

背を擦る仕草がむしろちくちくと刺さるばかりで逃げられずいる

サルベージ・一勝一敗

傷負った獣の目して行く人を遠く眺めて舐めてるココア 血色の良い労働者となるため口紅を塗る頬紅を塗る冬の間も歩けば春になるように一勝一敗繰り返し行く窓辺から夜一杯に詰めた文字ただ一行で言える気もする自殺者が今朝も出ました白線の内側に立ちお待ち…

034:聞(円)

顔文字も(笑)もないメールから聞く君の密かな笑い(笑) ……かっこわらい

033:滝(円)

この道が滝へ続いてますように君の周りを公転せぬよう

032:詰(円)

君無しの白い光を浴びたくてまだ何一つ詰め込めぬ部屋

031:大人(円)

大人にはちゃんとなれたよ。(君に告げる言葉がまだ、見付けられない)

030:敗(円)

敗戦を終戦と呼ぶ国にいてなんと呼ぼうか訪れる春

029:座(円)

開演のベルが鳴っても埋まらない隣に座る人を待ってる

028:脂(円)

花潰しスカーフ染めて女生徒は風に揺れてる色、臙脂色

027:損(円)

会ったことない妹が損ったわたしをきっと救ってくれる

026:シャワー(円)

あたたかい水に一人で打たれつつシャワーヘッドの神に祈った