つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

題詠2012

題詠blog2012感想

初参加が無事終わったので、記録として。基本スペック。元々短歌は読むのは嫌いではなかったのですが(かんたん短歌blogはよく覗いていました。その後、文学フリマの詩歌コーナーを友人に紹介されて色々見て回るように)、1月に好きな劇団が解散したのを切…

完走報告(円)

完走しました。所要期間は半年弱といった所でしょうか。 初参加のためまずは参加することに意義がある、と思っていますが、色々と面白い体験でした。運営の方、有り難うございます。 トラックバックミス等でご迷惑をおかけしてすいません。 完走者のお作を、…

100:先(円)

この先で待っているよと言いながら振り向いてみるひとりの道を

99:趣(円)

うそつきは嫌いといううそつきばかり素肌のような趣向をはたく

98:激(円)

本当に激しく燃える火は青いあれは不知火、人の魂

97:尾(円)

臍の尾を切られたあとが痛むので手当たり次第つかむ蔓草

96:拭(円)

拭き取った色と一緒に告げるべきことを忘れた顔にタオルを

95:樹(円)

ただ春に薄紅の花咲かすため死人のように捻れる大樹

94:担(円)

加担した罪悪感が君もまたそんな大人になったねと言う

93:条件(円)

わたくしである条件すらも溶けていく青い空には空だけがある

92:童(円)

受話器から響く童謡に合わせて広がっていく黒い渦巻き

91:締(円)

この星をひとまわりした電線が君と僕とを締め上 げていく

90:舌(円)

もどかしい言葉の代わりに花だけを舌下に埋めた種子が溶けだす

89:喪(円)

勇敢な夏の青さえ褪せていく喪うことが怖い夕焼け

88:訂(円)

右斜め45度の訂正印「ただしくない」を定位置として

87:チャンス(円)

息を吸うチャンス逃したテーブルが笑い続けるアフターファイブ

86:片(円)

夜はただ薄まるばかり銀の匙押し潰されるゼリーの欠片

85:甲(円)

手の甲に浮かんだ骨の筋のみが生き物である人混みを掻く

84:西洋(円)

まだ生きていかなくちゃべたべたしてる。「西洋骨董洋菓子店」(アンティーク)文庫版開いて

83:邪(円)

そのほかはすべて邪推となるゆえにストローだけが踊るテーブル

82:苔(円)

丸まれば天気予報も分からずに布団の中で苔玉となる

81:秋(円)

見送ってばかりいた風見の鶏がはぜの葉のせて風に乗る秋

80:たわむれ(円)

前世では恋人だった電柱をたわむれに抱く やはり冷たい

79:帯(円)

「かつてここ一帯が戦場でした」晴天の下告げる幽霊

78:査(円)

(査定では全て合格)出荷されなお落とされる不要な手足

77:転(円)

ローリング追い掛けないで抜かないで転がるような足踏みをする

76:桃(円)

こんなにもうしなってから時は経ち実った桃が掌にある

75:溶(円)

透明な涙も既に飽和して溶け残るものはいつも醜い

74:無精(円)

唇を尖らせながら暮らしてる言い返せない「無精者めが」

73:庫(円)

走るべき線路の入口見付からぬ地下鉄たちの隠れてる車庫