2012-07-31

97:尾(円)

題詠2012

臍の尾を切られたあとが痛むので手当たり次第つかむ蔓草

2012-07-30

96:拭(円)

題詠2012

拭き取った色と一緒に告げるべきことを忘れた顔にタオルを

2012-07-29

95:樹(円)

題詠2012

ただ春に薄紅の花咲かすため死人のように捻れる大樹

2012-07-28

94:担(円)

題詠2012

加担した罪悪感が君もまたそんな大人になったねと言う

2012-07-27

93:条件(円)

題詠2012

わたくしである条件すらも溶けていく青い空には空だけがある

2012-07-25

92:童(円)

題詠2012

受話器から響く童謡に合わせて広がっていく黒い渦巻き

2012-07-24

91:締(円)

題詠2012

この星をひとまわりした電線が君と僕とを締め上 げていく

2012-07-23

90:舌(円)

題詠2012

もどかしい言葉の代わりに花だけを舌下に埋めた種子が溶けだす

2012-07-22

89:喪（円）

題詠2012

勇敢な夏の青さえ褪せていく喪うことが怖い夕焼け

2012-07-15

88:訂（円）

題詠2012

右斜め45度の訂正印「ただしくない」を定位置として