つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

サルベージ・水の袋

ベランダで雨雲を待つ傘布が振り向かぬまま透かした光

流れない涙ばかりで満ちてゆく水の袋になってしまった

太陽が明日も昇るかのようにふつうであると赤い唇



寝静まる夜の隙間に産まれ落ちひとりでに死ぬ生き物がいる

集会後の空は強風 今、すべての夜の夢が砂となる。

夜の指から落ちていく砂音が「塵から塵へ、塵から塵へ」


ブラッドベリの訃報に。
教科書で出会い野田mapでも引用された「霧笛」も良いけれど、「集会」(と「塵
よりよみがえり」)も好きでした。