つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

サルベージ・アットホーム

アットホームと呟けばいずこへも届かぬ声の地平が見える

がたついた鎧戸である背中から閉め出していくぬるい体温

擦過傷 抱かれるほどに近過ぎて傷んでいたとひとりの吐息

ノッカーの小さいf5連打して確認してる君の生存


切り方の違う人参煮込まれて絶えゆくものの数を数える

日々食の細くなりゆく人達は今年も欠けずことほぎの膳

たぶん今朝交代式があったのだ松の居並ぶこの道過ぎて

深呼吸さえも出来ない寒さです舌を伸ばした先に、太陽

悼むとは夜に降っては溶ける雪わたしたちだけ生き残ったね

吸って吐く時にここから落ちるもの指輪の形に丸めて鳴らす

生きのびる 同じ楕円をなぞっては迎える今日の新しい日を