一斉に手を上げなさいきらきらとスノードームに明るい吹雪
テーマは雪でした。ありがとうございます。
バルコンの手摺も冷ゆる夕暮れの森をあんまり見ては駄目だよ
まうずつと広がつてゐるのは曇天。窓は翼の形に開く
わたしさへ黙つてゐれば破れないうつくしい肖像画いちまい
パントマイム伝はらぬまま更くる夜の子守唄つてみんな寂しゑ
怒りだと気付けばさびしくなる怒り水面の波は消えていつたよ
たましひを呼び返すごとくりかへし空に向かつて鳴らす音楽
編まれたる髪は解かれそのたびに仔馬のごとく吾が背を跳ぬる
角を持つ獣たちから駆け出せばいまは百年越しの雪溶け
うつくしき馬つひに御し駆けてゆくアレンデール女王の性別は氷
飛び去つてしまつてもいい掌にまだ乗せてゐる手紙一通
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短歌連作サークル「あみもの」発行の「あみもの24号」寄稿作でした。
映画「Frozen2」に。
「痛覚」でやっている年越しバトン。毎年参加させて頂いております。
昨年に引き続き、今年も少し早めに書いてしまおうと思います。
花図鑑
わたし、も。もうそれ以上なにひとつ話したくない陽だまりでした
あたたかな雨ふるようなその雨を身体ぜんぶで受け取るような
沈黙を分類すれば色刷りの花の図鑑は閉じられぬまま
なんという激しい拒絶いま海は空より深い青色である
錆び付いた水門だからくりかえし両の鎖骨をゆっくりと圧す
テーマ詠
憎んでもいいよって言ってほしかった手首の骨を鎖はすべる
(題詠:「身につけるもの」)
テーマ詠は再録でした。