つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

東京文学フリマに参加します。

タイトル通りです。今年もいろいろ出してます。

 

新刊

 

G11 BL短歌合同誌製作委員会

「ヴァーチャル・リアリティー・ボックス」

私家版歌集です。2012年から2017年までの200首強を収録しました。

装丁・誌面デザインは倉又美樹さんにお願いしました。

 

共有結晶別冊「萬解」

俳句・短歌の「鑑賞」に焦点を当てた本です。編集・鑑賞文で参加しています。

 

その他短歌のフリーペーパーとして「MASTER TEMPO」「AI?」を配布予定です。

 

キ21~22 稀人舎 『Solid Situation Poems』

現代詩手帖」(思潮社)2017.8~10月号連載の誌上アンソロジー企画〈川口晴美と、詩と遊ぶ〉を纏めたもの。1首が詞書として引用されてます。詳細はこちら

 

G5~6 Nんたる星

委託ペーパー「Re:短歌」に連作「デイジー・デイジー」(「AI?」に収録)が掲載されています。 

 

既刊

B57 痛覚+Wilhelmina 『姫君の匣』

お姫様がテーマの小説アンソロジー。「末の姫君」で参加しています。

 

よろしくお願いします。

The October People(仮装俳句 より)

 

花嫁にいつか捧げる草の花

薬掘るもはや死からは遠けれど

本物は白、囮には赤い薔薇

ともだちもぼくも映らず水澄めり

遠目には渡り鳥にも見えるだろう

凶作やドラッグストアの増血剤

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東京歌壇10月29日

学習性無力感のごとき雨はふり雨音のなか私は眠る

 

東直子欄・選でした。ありがとうございます。

ワンルーム・サイレンス(back 2 back)

於東京駅弘済会

昭和二十二年三月二十八日 春雨の中に購ふ。

  句集「春」買ふて濡れゆく家路かな  / 柳白塘     

                   (現代俳句叢書1 句集「春」(日野草城)末尾の書込み) 

 

 

うつくしい冬への扉あけはなつ話すことなどなんにもなくて

 

  訪うや把手冷たきワンルーム 

 

夕焼けがはんぶん以上を占める窓ここでは雲は都心からくる

 

  ビル街に蝕はじまりし春の月 

  

  桜貝掌にうつくしと見て受くる  

 

(そんなやさしい目をしてたのか)思い出はなんどもなんども上書きできて

  

  雨去って籐椅子に来る海の風 

 

にんげんに聞こえぬ声もあまたあり空いっぱいに響く心音

 

  世紀末近き星空雪柳

 

夏の昼 死体がないか目を凝らしすぐに見慣れた暗がりのこと

  

  手花火に恐れ隠さぬ子のありし

 

火傷するために伸ばした手のように文字だけは残る(なにも残らぬ)

 

  詩をつくることも夜業や灯を寄せて 

 

沈黙の重さ言葉の重さとを果実のように割れなくて手は

 

  戦友と呼ばれ背広に秋暑し 

 

  花火消えホームに暗き空残る 

 

かつて火が本を燃やしていたことの 真夜、風の音を確かめている

  

  薬草も毒草もみな草紅葉 

 

糸を切る。そしてまた切るまぼろしのマグカップのなか香る珈琲

 

つかむほどたどるほどには長くないあなたの言葉はこうして追える

 

  着いてすぐ出てゆく船や夏の月

 

白い船浮かべるように空を見るもう少しだけ声を聴きたい

 

 

※連作の俳句は全て柳白塘による。

 柳白塘:京都生まれ。「風花」同人。2001年没。

現代詩手帖と刀剣短歌について

現代詩手帖10月号の誌上アンソロジー連載企画「川口晴美と、詩と遊ぶ」掲載・石原ユキオさんの俳句連作「四代目中村地球三郎第一句集『宙乗(スペース フライト)』より」の俳句詞書として拙訳による短歌「ほろぐらむ夢のあなたを手にかけてしんと明るむ愛といふもの」を引用頂いてます。ありがとうございました。

誌上アンソロジーは共通設定で複数の作り手が作品を作る企画で10月号が最終回だったのですが、【女性が死滅した後の社会(「女性」と接した記憶のある世代はもうほとんどいない。凍結卵子と人工子宮によって子供はまだ生まれ続けているが、XXは死産となってしまいXYしか育たない)で暮らしている】という設定でした。レイアウトも毎回とても凝ってて面白かったです。

 

ちょっと裏事情を解説すると、引用頂いた短歌もともとtwitterで「#刀剣短歌」タグを付けて流したものです。

「#刀剣短歌」タグはオンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の二次創作短歌用のハッシュタグです。刀剣短歌については2015年7月頃、「刀剣伝授」と題したネットプリントアンソロジーを企画・発行させていただいているのですが、こちらに掲載した拙作にこんなものがありました。

 

ほろぐらむ。夢の名前を吾に告げし主はまことうつつにありや (fragments収録)

 

こちらについて、当時ユキオさんからこんなコメントを頂いてました。

 

 

こちらのコメントになるほど枕詞なら「夢」「うつつ」あたりにかかりそうだなあとふしぎな納得を覚えつつ、これ以降刀剣短歌で「ほろぐらむ」を入れる際はそのあたり多少意識しつつ作っていたのですが、その中の一首が上記の「ほろぐらむ夢のあなたを~」(記録では2016年前半に詠んだようです)になります。2016年秋に出した刀剣短歌集「fragments」の名義が穂崎円・訳となっているため、詞書でも同様の記載をお願いしました。「fragments」に収録するか、実は結構迷った歌だったのでその意味でも嬉しかったです。

ちなみにユキオさんの俳句も「ほろぐらむ」の現在推量っぽさを活かされてるなあと思います。ご連絡いただいた際に上記の設定で歌舞伎というモチーフを出してくるのが本当にすごいなと思ったのですが、ほかの方の作品を見て改めてイメージの飛躍がすごいなと思いました。

(余談ですがこの回の世界設定、語弊があるかもしれませんが作り手の性別で作られる作品の内容に差があるような気がして、その意味でも興味深かったです)

 

とはいえ言うまでもなく現代詩手帖を普通に買われた方はこんな事情はご存知ではないわけで、訳者名込みでフィクションと思われる方がいたらちょっと面白いかもな、と思います。