読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

NHK短歌2017年5月号・ジセダイタンカ

NHK短歌2017年5月号、ジセダイタンカの欄に短歌7首連作「Border」と短い文章が掲載されました。
ジセダイタンカの欄は天野慶さんが編集を担当されており、見開き1ページに3人の連作及び文章、1名の歌集紹介が掲載されることになっています。法橋ひらくさん、志稲祐子さんとご一緒させていただいています。

文章の方ではweb漫画「サトコとナダ」(作者:ユペチカ、監修:西森マリー)第14話、サウジアラビア人女性ナダのニカブについての台詞を引用させていただきました。

sai-zen-sen.jp

もともとWeb連載の始まる前から作品を拝見していた作家さんなのですが、引用させていただいた台詞は中でも印象的だったことから、今回引かせていただいたきました。……なのですが、実は校正時に引用間違いをご指摘いただいて真っ青になりました。修正できて本当に良かった。
原稿のやり取りの際、校正のため実際にweb漫画を見ましたが面白い作品ですね、と言っていただけてとてもうれしかったです。

ちなみに4月25日からツイ4で本連載開始とのことです。おめでとうございます。

 

 

天野さんのコメントで作風や活動の仕方について(なのだと思う)「自由闊達」と評されたのがちょっと面白かったです。機会があれば自己紹介の時に使ってみたい。

本としては漫画「月に吠えらんねえ」作者の清家雪子さんと穂村弘さんの対談企画(第2回)が戦争詩についてで面白かったです。

 

なお、掲載誌のkindle版購入はこちらから。

https://www.amazon.co.jp/dp/B06W576JQZ

 

よろしくお願い致します。

東京新聞歌壇4月16日

 

いまはただあなたひとりの真っ白なカーテンとして夕焼けを待つ

 

東直子選・佳作でした。

webで一首評をいただいていました。ありがとうございます。他の記事を見てタイトルがアナグラムなんだなと暫く経ってから気が付きました。

note.mu

そして崩れる

そして崩れる


わたくしの影も眼鏡を持っていて時折外しレンズを磨く

俯いた君をまっすぐ貫いていつかは帰る星なのだろう

やわらかなだるま落としとして甘いパンケーキつむ(ちょっと崩れる)

さいはてかさいしょの場所かわからずにふたり見つめる海の青さよ

プラスチックのかごいっぱいの花びらを色あせたってまだ言わないで

すきまからずっと見つめていたはずのきみの代わりにみどりかがやく

瓶にして何本分かアスファルトに混ぜ込まれたる硝子カレットは

封をされる。そしてゴム印を押される。図書費の項に書かれぬ書名

反射するひかりをすべて花と呼ぶチューリップ痛いくらい赤くて

悼むという行為のエンターキーゆえに草いきれへと沈むEpitaph

孤児だったアン・シャーリーが馬車に乗り揺られるような陽射しのなかで

ながいながい旅路だろうね鳥たちのまなこに映るみどりそよめく

 

夜がくる。 なまぬるいばかりの川べりをもうちょっと歩こうか、廃墟へ

 

続きを読む

エヴァンを棄てる 他( #vdbl俳句 2017)

 エヴァンを棄てる

 

    泥拭い落としひとりのバレンタイン

 

     夜の梅スニッカーズはちぎるもの

 

     告白はしないが うおに上る

 

     銀紙のちりちりと鳴る愛の日よ

 

     たんぽぽを頭にのせてチョコになれ

 

     みんなうそ。猫の舌とはチョコのこと。

 

     朧月キットカットは出せぬまま

 

     薄氷やマーブルチョコをたどりゆく

 

     手首にもチョコがついてて梅の花

 

     春の夜の電子レンジにチョコレイト

 

     バレンタインもう一度だけ化けて出ろ

 

     てのひらで溶けるチョコだけ手に乗せて

 

     ジャン・ポール・エヴァンを棄てし春の野辺

 

忘れてしまふ

 

     しやぼんだま過呼吸の苦しさで好き

 

     半券をぶらんこに置き帰ります

 

     春の風邪ビニル傘より空みれば

 

     アドリブがどうも効かずに山笑ふ

 

     きみに降る陶片、ちがう、しゃぼん玉

 

      春時雨クローンのやうにふたりきり

 

      バレンタイン棘のある花だけあげる

 

      しやぼん玉ここから先は戦争です

 

      春寒し心臓に降る雨のこと

 

      ソリストのやうだねきみの忘れ角

 

      はるのそら改札鋏が鳴つてゐた

 

      うららかな背中に向けてクラッカー

 

      パスワード忘れてしまふ鳥の恋

 

「自販機で間違えてココアを買ったからお前のと替えてくんない?」とかなんとか言えばそれはもうバレンタインBLなんだよ。

 

     缶コーヒーかすめ取られる春の夜

 

     薄氷やざまあの意味がわからない

 

   「そういえば」「んなんじゃねえよ」バレンタイン

 

     如月のココアの缶が熱すぎる

 

     自販機は黙秘貫き春の星

 

続きを読む

遠い虐殺(京都文学フリマ・短歌連作フリーペーパー)

                        

 

ただしかった、ただしかったとくりかえすあなたのための夜のクリック

 

水面に指ふるるごとログインのたびにぼやける感情がある

 

ガラス器の継がれてなおも立つ様を景色と呼べば遠い虐殺

 

  どんな夜だっていつかは明ける(福田恒存 訳)

  明けない夜は長いからな(松岡和子 訳)

The night is long that never finds the day. 理由も知らずこの夜を行く

 

吹く風にまとわる衣腕に絡げいいかいこれはみんな夢だよ

 

Fragile-Handle with care取扱注意のラベルくっつけて / This machine is made of Sakura,Sakura.君は桜でできていたのか

 

窓鎖せば薄暗がりに花冷えて春には春の仮想現実

 

死んだ人、もう会わない人、最初からいなかった人 電源を切る

 

 

  私は、……人殺しだけはしないことにきめようと思う。(寺田寅彦

どこからが歌かわからぬような歌ばかり歌ってにんげんみたい

 

うばたまのデスクトップから目を逸らすまちがっていたまちがっていた

 

 

続きを読む