つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

図書館ほしまつり

(当館にある星の本を集めました。)

 

あるびれお 新潮文庫の青色に浮かぶ十字に手は重なって

 

夏の月まだ百歳にもなってないぼくたちだからまちがいばかり

 

すべて星、あるいは星であったもの。(天の光はすべてみなしご)

 

幼年期終わらぬままに夜は降り取り残されたグランドピアノ

 

だけどウは宇宙のウだよミサイルはいま国境を渡ったところ

 

あるびれお人類はもう光年の遠さ あなたを博士と呼ぶよ

 

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田中ましろさん企画「歌人のふんどし」提出作品。ほかの方が決めた連作タイトルから歌を作る、という企画で、2回目になります。サイトはこちら(pdf配布)。連作タイトルだけ眺めてみてもかなり面白いかと思います。

実は一応、一首ずつ元ネタがありました。詳細は続きから。 

 

 

 

あるびれお 新潮文庫の青色に~ :宮沢賢治銀河鉄道の夜」(新潮文庫の表紙はこちら

夏の月~:ロバート・A・ハインライン月は無慈悲な夜の女王」(こちらの3章末尾を参照) 

すべて星~:フレドリック・ブラウン「天の光は全て星」、あるいはカール・セーガン「COSMOS」(We are made of starstuff.)

幼年期~:アーサー・C・クラーク幼年期の終わり」(いま彼は、世界最高のピアニストになった)

だけどウは~:レイ・ブラッドベリ「ウは宇宙船のウ」「スは宇宙(スペース)のス」

あるびれお人類はもう~:宮沢賢治銀河鉄道の夜」(ブルカニロ博士

 

SFの古典と呼ばれる作品の翻訳は詩人の方が取り組まれているものも多く(岩田宏など)だからタイトルも素敵なものが多いのだと昔教えてもらったのですが、その力をお借りした感じです。ちなみにお題はユミさんから。ありがとうございました。

私の出した連作タイトルは「夏芝居」でした。こちらは笹谷さんがすてきな連作を作ってくれました。ありがとうございます。