2014-08-16から1日間の記事一覧
聡明な明るさの中わたくしの断崖は光りながら消えゆく
もう君はほのかな夢となつていてめざめた秋のあかとき静か
死者帰ル電線ト火ヲ辿リツツ盆には帰ル必ず帰ル
ああ焼けた匂いは知らない戦いに負けたことなど忘れてるから
通勤は不気味の谷を経由してヒトの顔してホームに降りる
ご銘はと聞かれて不意に思い出す過ぎ去っていた風の名前を
こちら側ではない方にいる、いる、いる、と歯を剥き出してお前は告げた
しっとりと君を濡らした雨雲はもはや消えたとテレビが告げる
もろこしの真白い粒を見つけ出し使用している排除の論理
両足を緋色の沼に浸すごと歩いてゆけば浴びる熱風
新しい手帳を開く手つきにて真白いシャツのボタンを外す
すうすうとミントの味をお互いに浸透させるさびしいあそび
砲台のように太鼓は空仰ぎ抱かれながら殴られている
ぼくたちが車に轢かれたそのときも妖怪ウォッチは有効ですか
をんなではないなと思ふ。病院の淡いピンクがひどく似合わぬ
遠吠えをたなびかせ走る窓の灯は(イッツ・ショー・タイム)まだ燃えている
待つことは燃えていること水面の煉瓦倉庫の赤が歪だ
勧善懲悪なんてないこと知りながら君の掲げた青が痛い
ライ麦畑で腕を広げるように笑う君の傷など暴きたいのだ