2013-04-07 サルベージ・嵐の後 うた 放られて折られし枝のやうな腕じつと見ている 嵐は過ぎた 濡れたもの全て乾いて明け方の薙ぎ倒された森ただ静か 越えて行く鳥、馬、魚、花の種 国境だけが何処へも行けぬ真っ黒に染められてゆく人間を見送る桜風に膨らむ 外は雨。濡れる桜を過ぎ行けば窓の水滴全部花びら冷凍の魂徐々に溶かされて柔らかくなる夜更けの車両健やかでなくとも我は我のまま傘は忘れた手ぶらで帰る 乱反射続けるこれでもうおしまい三月は波打ちつつ光る