題詠2014
バトンではありませんが、メモ代わりに。 2014年の活動記録です。
最後には燃えて崩れるものばかり集めていたとかみさまの声
春の午後軋み始める観覧車わたしは速度をもう落とせない
吉兆を占う人の目蓋へと落ちるダナエの金色の雨
ブラインドの配列乱れそこだけが午後の陽射しでふいに明るい
翻訳の翻訳をまた翻訳し翻訳されて誤訳ばかりだ
「運命」が始まりそうに詰まる息 クラリネットの幻聴がする
雇用者の増減示す線グラフ山がいつでもひとつだけある
ワープロの活字に垂直になるよう首傾げつつ押印をする
死んでゆく命が鮮やかだといって自分勝手なお話を書く
回覧してゆく言葉が一番強いからきみの言葉はもういりません。
何枚も布を纏って会いに行く駅前の交差点を渡る
ぐっしょりと波打ちながら煽動の言葉が町へ溶け出してゆく
雑踏を電気の白い灯が照らしまた薄くなる火の七日間
長々と読み上げられる人生は全て未必の故意であったと
死んだねえ、うん死んだねと公園で魑魅は語る花火の記憶(魑魅:すだま)
両腕を遥かに遠く投げるから花も小鳥も光の一部
逆位置の「皇帝」円の真ん中に置かれて錫は離さないまま
スクリーンセーバーに似た窓があり午後の光が反射している
格子模様をチェックと読んで過ぎていく家を出て行く人との会話
目に見えぬ編目の中に囚われて啓示ばかりが注がれている
(まるで火を焚いているよう)誰もいない議事堂へ向け怒号がのぼる
声色に潜んだ愚痴をはかるため試されている絶対音感
反射する海の明るさ受けとめてかはたれ時の棚田をくだる
三年目の題詠マラソンも終わりました。主催者様ありがとうございました。 今年はいつもより早めに終わりました。一、二年目ともに、とにかく完走することに意義がある(はずだ、そうであってほしい)いうスタンスで今年も同様のスタンスで進めたのですが、改め…
聡明な明るさの中わたくしの断崖は光りながら消えゆく
もう君はほのかな夢となつていてめざめた秋のあかとき静か
死者帰ル電線ト火ヲ辿リツツ盆には帰ル必ず帰ル
ああ焼けた匂いは知らない戦いに負けたことなど忘れてるから
通勤は不気味の谷を経由してヒトの顔してホームに降りる