2017-01-01から1年間の記事一覧
シュレディンガーの傘 どこからが雨雲なのかわからない空の下でも無防備だった ロッカーの遠い密室開くまでシュレディンガーの傘の花柄 曇天に開くてのひら法律が雨になるまであとどれくらい? 紫陽花に香りはなくて暗がりに寄り添いあえば震える睫毛 雨の気…
やさしさを花にたとえるひとがいたユートピアってマメ科だろうか 東直子欄・選でした。ありがとうございました。 twitterのフォロワーさんが同じ欄にいてちょっと嬉しかったです。
あたためたミルクのために一度だけレンジのベルは鳴りまた夜になる 東直子欄・特選でした。ありがとうございました。 東京新聞:東京歌壇 東京俳壇(TOKYO Web)
夜の続き 甘やかに庇護されている夢を見た夜の続きはいつでも朝だ 墓所のごと返信のたび増える署名スクロールバーは仕事を終えて 花のつく季語という季語ぶちまけた君の狼煙がこんなに綺麗 音もなく加湿器は白い霧を吐く目眩むほどの光もあったが ちょっとし…
Vuelta 蓋取れば茄子の酢漬けの五日目は食べ頃としてしずもりをりぬ コンセント挿せばちひさく散る火花ゆめの甘さは遠くなりけり 風戦ぐアンダルシアを映すときブラウン管に立つ砂嵐 消失点 破線であつた白線がいつぽんとなり漕ぐ吾がゐる ブレーキを握らぬ…
公の字がやがてはハムになるまでを見守っている 骨さえなくて 東直子欄・選でした。ありがとうございました。 余談ですがこの日の新聞の東京歌壇上に掲載されていた「米国人カメラマンが撮った「フクシマ 不屈のサムライ」 江戸末期の撮影技法で「まるで幕末…
飛べぬなら鳥には死ぬも同じだと告げくる君の呼吸熱くて 狩るときの眼はいつぽんの矢のごとし黒き鏃(やじり)が獲物へ向かふ 心臓を抉れるほどに近づけばとろ火のごとく匂ふ肉叢(ししむら) 夜は降るやわらかき草育める短き雨の静けさのなか 殺したと顔を歪め…
「それはまた別の話」と締めらるる寓話のごとく会話は途切れ 陽を浴びし乳白釉の幹のいろ風吹けばふとほの明るみぬ 池水が翡翠のごとく凪ぐ真昼ときに人語は檻のごとしも 忘れてはまだをらぬゆゑいつまでもすつとぼけたる会話が続く たまさかのふたり過ごせ…
共有結晶別冊企画(二次創作短歌非公式ガイドブック。詳細はこちら)のごあいさつです。好きな劇団はいつも開演前にごあいさつを書いた紙を配っていてそれを席で読むのが好きなのですが、そんな感じです。 別冊は企画書から書いていることもあり、前書きやら後…
君はいつも冬の匂いと告げられてまき散らしてる小さい火花 東直子選・特選でした。有難うございます。 www.tokyo-np.co.jp
標題通りです。相変わらずいろいろなところに手を出しているのでスペースごとに纏めてみました。 G24 BL短歌合同誌実行委員会 ・共有結晶別冊企画・二次創作短歌非公式ガイドブック 企画・主催です。 共有結晶はBL短歌に関する合同誌なのですがこちらは別冊…
NHK短歌2017年5月号、ジセダイタンカの欄に短歌7首連作「Border」と短い文章が掲載されました。ジセダイタンカの欄は天野慶さんが編集を担当されており、見開き1ページに3人の連作及び文章、1名の歌集紹介が掲載されることになっています。法橋ひら…
いまはただあなたひとりの真っ白なカーテンとして夕焼けを待つ 東直子選・佳作でした。 webで一首評をいただいていました。ありがとうございます。他の記事を見てタイトルがアナグラムなんだなと暫く経ってから気が付きました。 note.mu
そして崩れる わたくしの影も眼鏡を持っていて時折外しレンズを磨く 俯いた君をまっすぐ貫いていつかは帰る星なのだろう やわらかなだるま落としとして甘いパンケーキつむ(ちょっと崩れる) さいはてかさいしょの場所かわからずにふたり見つめる海の青さよ …
エヴァンを棄てる 泥拭い落としひとりのバレンタイン 夜の梅スニッカーズはちぎるもの 告白はしないが 魚(うお)は氷(ひ)に上る 銀紙のちりちりと鳴る愛の日よ たんぽぽを頭にのせてチョコになれ みんなうそ。猫の舌とはチョコのこと。 朧月キットカット…
ただしかった、ただしかったとくりかえすあなたのための夜のクリック 水面に指ふるるごとログインのたびにぼやける感情がある ガラス器の継がれてなおも立つ様を景色と呼べば遠い虐殺 どんな夜だっていつかは明ける(福田恒存 訳) 明けない夜は長いからな…
カーディガンの裾はためかす早足で次のページを目指し歩いた 雪原に雪降りつづくそのなかの足跡としてピチカート鳴る 最終行でぜんぶ反転してしまう叙述のように ここも地獄だ ヤミゴメに似たものを食べ生きている歯の抜ける夢をくりかえし見る 人混みに肩い…
ガラス器の継がれてなおも立つ様を景色と呼べば遠い虐殺 2017年1月22日、東直子・特選でした。ありがとうございました。 京都文学フリマでこの歌を含む連作ペーパーを配布していたところ、フォロワーさんから教えていただいてびっくりしました。 東京新聞:…