つきのこども/あぶく。

おはなしにならないことごと。

題詠2012

012:眉(円)

うつくしいものならあると信じたい乱視の空に震える眉月

011:揃(円)

不揃いなかたちどうにかすり減らし生きているのでまあるい世界

010:カード(円)

期限切れのカードの束に刃を入れて過去の私をじゃきじゃき殺す

009:程(円)

右足の親指が浮くその度に僕のうしろで消える道程

008:深(円)

地下深く注ぐ電波を受けながらイヤフォーンから青空の歌

007:驚(円)

ハイドンの忍ぶ足取り軽やかに「驚愕」第二楽章は鳴る

006:時代(円)

あの時代にも誰か自嘲(わら)っていたの? さよなライオン何も出来ない

005:点(円)

点灯夫はあかりをもってゆきのはら足跡つづくてんてんてん、 点

004:果(円)

果ての無い丸い星にもおしまいは必ずあると言う地平線

003:散(円)

一人行く私の頭に満開の花よ散れ散れわたしはげんき

002:隣(円)

塩の隣には胡椒を幸せはそんなものだと詩人が言った

001:今(円)

今はまだ笑っていよう溶け残る砂糖の粒をスプーンで掬う

題詠2012に参加表明。 短歌はまったくの初心者です。宜しくお願いいたします。 淋しさを夜の川より集めれば 掌に落ちる明るい宴 (トラックバック方法を間違えておりすいません……)