題詠2012
曇天を銀色に裂く稲光じっと見上げる 手放して良い
君の方舟に私が乗ったって喫水線は上がりはしない
ありきたりな嘘にいつも気づけない勉強なんてしてないよとか
つま先で春を蹴り上げまた一歩落としてはだめ落としてはだめ
標的になると夢にも思わずに車両に積まれ眠る人々
なまくらと自虐しつつも牙はあると根拠もなく信じてる君
右腕を伸ばして羅針盤のふりrightはlight、明かりはこちら
背を擦る仕草がむしろちくちくと刺さるばかりで逃げられずいる
顔文字も(笑)もないメールから聞く君の密かな笑い(笑) ……かっこわらい
この道が滝へ続いてますように君の周りを公転せぬよう
君無しの白い光を浴びたくてまだ何一つ詰め込めぬ部屋
大人にはちゃんとなれたよ。(君に告げる言葉がまだ、見付けられない)
敗戦を終戦と呼ぶ国にいてなんと呼ぼうか訪れる春
開演のベルが鳴っても埋まらない隣に座る人を待ってる
花潰しスカーフ染めて女生徒は風に揺れてる色、臙脂色
会ったことない妹が損ったわたしをきっと救ってくれる
あたたかい水に一人で打たれつつシャワーヘッドの神に祈った
この影が貴方に触れたことをのみ優越としていく日蝕(エクリプス)
ああここは食玩目当てに買っていたウエハース菓子眠る草はら
君救う必殺技を知らなくて大丈夫って笑ってあげる
突然の風、光、空に散った花。そして私のくずれゆく骨
「The night is long that never finds the day 」 これに合致す事例を示せ
終劇の緞帳空から下りぬのでもう泣き終えて良いか分からぬ
「ついさっきそっくりな人をみたんですあれがわたしのほんものでしょう」
人生と同じ長さの望遠鏡覗いて希望を観測中です
手を引かれながら俯き行きました従うことが幸福でした
夜の底を覗く力が強さなら光る硝子は目に降り注ぐ
「もうあなた子どもじゃないよ」児童図書コーナーの棚は胸の高さだ
偉人らの言葉は日夜流れても誰も賢くなりはしないweb
永遠に気付きはしない「あおはあお」世界の色が逆に見えても