題詠2013
肩下の左側のみ強張って習い覚えた罵倒語を吐く
賞罰の対象でない後悔が網にかかって重くなる羽根
幾度も畳まれしことその疲弊テーブルクロスの折り目は浮けり
鍋の湯を落とす一瞬流し場はままごとに似た色に染まれり
やがてくる別れの数を眠る前布団の中で数え続ける
それはどの券売機にて売られしか君の「普通」になれる切符は
お互いの痛みを叫びあうように雨は砕ける道路の上で
手首から歯車の噛む音を聞く蕾もやがて開くのでしょう
諦める儀式の開始 行先の「各駅停車」を「回送」とする
嫌われぬための言い訳なら得意「甘さ控えめ」ばかり手に取る
新雪と呼ばれることもなく水になったものらの名を考える